厚木市では1970年代後半、中心市街地における都市基盤の整備 及び郊外での大規模開発による 住宅や事業所等の増加によって、県下でも有数の人口急増都市となっていました。都市の開発、発展に伴うモータリゼーションは凄まじく、中心市街地の交通渋滞は厚木市としても最大の課題となっていました。
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厚木市では、この課題解決に資する対策として、都市モノレールの導入を構想。昭和56年度 および57年度に 社団法人 日本モノレール協会に委託し 都市モノレールの調査を進めていく事となります。厚木市都市モノレールの検討ルートは、初期構想ルートとして、上依知、上荻野、飯山、森の里、相川 等に至る5方面を対象として開始。
採算性や実現性を煮詰め、次のステップとして、上依知、上荻野、森の里の3ルートにおいて、さらに詳細な検討を進めていく事となりました。
需要規模としては、1時間あたり4800人を輸送できるシステムとして想定。都市モノレールのキャパシティより、1両当たり乗車定員を150人として、3から4両編成とし、一時間当たり8本程度運行させる事がベースとなりました。採算性だけで見ると 上荻野ルートが最有力ではあったものの、この上依知ルートと、もう一つ検討が成された森の里ルートの2ルートについては、当時大規模開発を行っていた 明確な目的地が設定されたルートであり、一概に採算性のみで語れる状況にはありませんでした。
なお、森の里地区については 森の里団地を目的とし、上依知ルートについては、ルート末端部に位置する内陸工業団地を目的地とするルートとして考えられていました。
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内陸工業団地とは、神奈川県厚木市上依知 および 愛甲郡愛川町中津の2行政区域にまたがる大規模工業団地。地区内の大部分は、戦時中 旧陸軍飛行場として使用されていましたが、戦後、開拓農地として分割され、土地改良事業が実施された後、開拓農地としての制限が解除され、工業団地造成の気運が高まりました。施行面積はなんと 238.9ヘクタールにもおよびます。なお、2行政区域での割合は、厚木市が72.3ヘクタール、愛川町が166.6ヘクタールとなります。
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小田急線本厚木駅より 北部 約8キロメートルの距離に位置し、東側と北側は、相模川を隔てて相模原市に接し、西は、中津川に、南は、国道129号が通じている平坦な丘陵地となっています。この内陸工業団地と本厚木駅間に拡がる丘陵地でも、厚木市としての都市形成が進んでいくわけなのですが、ここでも当然 交通渋滞が課題となっていきます。
都市モノレールはその性質上、帰属する道路、正確には都市計画道路が必要なのですが、この内陸工業団地までつながる国道129号線が、この導入ルートと想定され、厚木市都市モノレール上依知ルートとして検討されていく事となります。
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厚木市都市モノレール 上依知ルートの起点は、他の厚木市都市モノレール路線計画と同様に 小田原 小田原線の 本厚木駅前から。
ただし他の2ルートと異なり、駅位置は本厚木駅東口交差点付近と 若干配置が異なっていました。
理由は単純明快で、この上依知ルート 主な帰属道路を129号線とするルートなのですが、ここへ接続する導線として、都心部側では 602号線および 601号線に帰属します。
このため、ルートの起点駅が 本厚木駅東口交差点位置 となっているわけです。 |
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駅前を出たルートは、道沿いに北上、中津川を渡り主要帰属道路となる129号線へ。上依知ルートの最終目的地となる内陸工業団地付近まで、帰属道路は一貫して129号線となります。
この先 246号金田陸橋との交差点部分に上依知ルート 第5駅が配置されます。 |
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こちらは内陸工業団地の入り口となる、藤塚公園前交差点。モノレール上依知ルートはここから、内陸工業団地内の南側を西進、内陸中一丁目交差点で右折し、工業団地の中心地を抜けて行きます。
厚木市都市モノレールの検討ルートが住宅地や団地を主な目的地としていたのに対し、この上依知ルートでは 工業団地を目的地と設定していた兼ね合いで他のルートと比べその様子も随分と異なります。
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内陸工業団地の中心部には中央通りを言う通りが配置されていますが、モノレールルートはここを突っ切った後、画像の位置に終点駅を設ける予定でした。
厚木市都市モノレールはあくまで都市モノレール、つまり少なくとも初期ルートの段階では厚木市内にルートを敷設するしかありません。
内陸工業団地はその北側半分が愛甲郡となっているため、この境界線ぎりぎりに駅を配置するつもりだったのでしょう。
さて、厚木市では社団法人 日本モノレール協会に委託し都市モノレール調査を実施。森の里ルート、上荻野ルートを検討する際に、この上依知ルートを同じテーブルに乗せ検討を行っています。
上依知ルート上に位置する愛川町および相模原方面については 発展途上線と言える国道129号の混雑へ対応するものとし、当方面の公共交通サービスの向上への寄与が最大目的として示されています。
ただし、公共交通のサービス提供範囲はあくまで市の東部に限定されるという点がある種課題として示されています。 |
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森の里団地の発展に採算性が大きく左右される森の里ルートとは異なり、上依知ルートでは 市街地内における路線長が 長くとれるため、沿線の 居住可能余地が比較的多く残されている事から、沿線の重点整備を行えばルート開業後は30%程度の需要増が見込めると踏んでいたようです。
ここからは個人意見ですが、都市モノレールを工業用途地域に向け計画検討した路線は過去いずれも計画倒れとなっています。上依知ルートについても実際は、この内陸工業団地より手前に終点駅を設ける
いわゆる妥協案で決着していたに違いありません。もっとも、厚木市都市モノレールはそのいずれの路線も日の目を見ることはありませんでした。
といった所で今回は厚木市都市モノレールの検討路線の内の一つ、上依知ルートの概要と線形を紹介しました。 |
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