モノレールに関するニュース&トピックス

モノレールコラム・その他
-2023年度-

その他

世界のモノレールの情勢
中国メーカーの台頭


1.世界のモノレールの情勢

世界のモノレールの情勢は、過去数十年間で大きく変化しており、さまざまな国や地域で新たなモノレールシステムが導入されています。モノレールは、その省スペース性、特殊な地形への対応力、騒音や振動の低減、環境負荷の低さなどから、都市部や観光地での交通手段として人気があります。以下に、世界のモノレールの情勢に関するいくつかのポイントを挙げます。

(1)アジア市場の成長:アジアでは、経済成長や人口増加に伴い、都市交通の需要が高まっています。これに対応するため、インド、マレーシア、中国などの国々でモノレールシステムが導入されています。
(2)都市再開発や観光地への導入:モノレールは、都市再開発プロジェクトや観光地でのアクセス向上のために導入されることが多く、特に高架式モノレールは景観への影響が少ないため、観光地での利用が増えています。
(3)技術革新:モノレールの技術は、自動運転や省エネルギー、軽量化などの点で進化し続けており、現代のモノレールシステムは以前よりも効率的で環境に優しいものになっています。
(4)環境対策:モノレールは、低騒音・低振動・省スペース性・低環境負荷といった特性から、環境対策としても注目されています。多くの国や地域では、持続可能な交通手段としてモノレールが選ばれることが増えています。

これらの要因から、今後も世界各地でモノレールの導入が進むことが予想されます。ただし、モノレールは建設コストや維持管理コストが高いため、適切なプロジェクト選定や効率的な運営が求められます。

2.世界のモノレールメーカー

世界には多くのモノレールメーカーが存在し、各企業は独自の技術やデザインでモノレールシステムを開発しています。以下に、いくつかの主要なモノレールメーカーを挙げます。

(1)日立(Hitachi):日本の大手電機メーカーで、モノレールや新幹線、地下鉄などの鉄道車両の設計と製造を手がけています。ヒタチのモノレールは、国内外の都市や観光地で使用されています。
(c)Adobe stock
(2)アルストム(Alstom):フランスを拠点とする大手輸送機器メーカーで、モノレールや高速鉄道車両、地下鉄などの鉄道車両の設計と製造を行っています。アルストムは、世界各地のモノレールプロジェクトに関与しています。
(c)shutterstock
(3)シーメンス(Siemens):ドイツの大手電機メーカーで、モノレールや地下鉄、高速鉄道車両などの鉄道車両の設計と製造を行っています。シーメンスは、世界各地の鉄道プロジェクトに関与しています。
(c)shutterstock
(4)中国中車株式会社(CRRC):中国最大の鉄道車両メーカーで、モノレールや地下鉄、高速鉄道車両などの設計と製造に従事しています。CRRCは、世界中の鉄道プロジェクトに車両を提供しています。
(c)shutterstock

これらの企業は、技術革新や環境に優しい車両開発などに取り組んでおり、世界各地で新しいモノレールシステムが導入されています。また、各国の地域ブランドや独自技術を持つメーカーも存在し、競争が激化しています。

3.中国のモノレール事情

中国では近年、モノレールシステムが急速に発展し、都市間交通や都市内の公共交通手段として導入されています。中国のモノレール事情に関連するいくつかのポイントを以下に示します。

(1)都市交通の拡大:中国では経済成長や都市化が進行しており、人口が急速に増加しています。これに伴い、都市交通の需要が高まり、モノレールが効果的な交通手段として導入されています。モノレールは、既存の交通インフラとの整合性が高く、建設コストや建設期間が比較的短いことから、都市交通の拡充に適しています。
(2)地域の開発:中国では地域開発や観光地へのアクセス改善のためにモノレールが導入されることが多いです。モノレールは省スペース性や騒音・振動の低減などの特性から、都市の景観への影響が比較的小さいことから、観光地や新興都市部でも好まれています。
(3)国内メーカーの台頭:中国の鉄道車両メーカー、特に中国中車株式会社(CRRC)は、モノレール車両の開発と製造に力を入れており、国内外のプロジェクトに車両を提供しています。これにより、中国のモノレールシステムは技術的に進化し、競争力が向上しています。
(4)環境対策:中国では大気汚染や渋滞の問題が深刻化しており、環境に優しい交通手段の導入が求められています。モノレールは電気駆動であり、騒音や排ガスの排出が少ないため、環境対策としても適した選択肢となっています。

これらの要因から、今後も中国でのモノレールの導入が進むことが予想されます。ただし、モノレールの建設コストや維持管理コストが高いため、適切なプロジェクト選定や効率的な運営が重要です。

4.中国のモノレールメーカー

中国にはいくつかのモノレールメーカーや鉄道車両メーカーがあります。これらの企業は、モノレールや他の鉄道システムの設計、製造、建設、運営に携わっています。以下は、中国の主要なモノレールメーカーの例です。

(1)中国中車株式会社(CRRC):世界最大の鉄道車両メーカーであり、モノレールや地下鉄、高速鉄道車両などの設計と製造に従事しています。CRRCは、世界中の鉄道プロジェクトに車両を提供しています。

(2)BYD(比亜迪):BYDは、中国の大手電気自動車メーカーであり、バッテリー技術や電気駆動システムの開発にも力を入れています。近年、同社は都市交通インフラ分野にも進出し、独自のモノレールシステム「BYD SkyRail」を開発しました。BYD SkyRailは、都市交通や観光地での輸送手段として利用されることを目的に設計されており、以下の特徴があります。
①省エネルギー性:BYDのバッテリー技術を活用し、高効率の電気駆動システムを採用しています。これにより、環境に優しいエネルギー消費が可能です。
②低コスト・短期間の建設:従来の鉄道システムと比較して、BYD SkyRailの建設コストや建設期間が短縮されています。これは、独自の構造と軽量化技術により、簡素な基礎構造で済むためです。
③低騒音・低振動:車両の軽量化と電気駆動システムの採用により、騒音や振動が低減されています。これにより、住宅地や観光地での導入に適しています。
④柔軟なルート設計:BYD SkyRailは、急カーブや急勾配にも対応できる設計がされており、都市の複雑な地形にも適応できます。

(c)Companhia do Metropolitano de São Paulo(CMSP) (c)BYD

(c)Companhia do Metropolitano de São Paulo(CMSP) (c)BYD

BYD SkyRailは、中国国内の都市や観光地で導入されるほか、海外市場にも展開されています。同社は、電気自動車やバッテリー技術といった強みを活かし、モノレール事業をさらに拡大することが期待されています。

これらの企業は、中国国内のみならず、世界各地の鉄道プロジェクトに携わっており、高品質のモノレール車両やシステムを提供しています。また、中国の鉄道産業は急速に発展しており、今後も新たな企業や技術が登場することが予想されます。

5.中国のモノレールの今後

中国のモノレール市場は、今後も引き続き成長が期待される分野です。以下に、中国のモノレール市場の今後に関するいくつかの予測を示します。

(1)都市交通需要の増加:中国では経済成長と都市化が進んでおり、人口増加に伴う都市交通の需要が高まっています。モノレールは省スペース性や騒音・振動の低減などの特性から、都市交通の一翼を担うことが期待されます。
(2)技術革新と環境対策:モノレールの技術は、自動運転や省エネルギー、軽量化などの点で進化し続けています。中国のモノレールメーカーも、環境に優しい技術開発に力を入れることで、市場競争力を高めるでしょう。
(3)国内外への展開:中国のモノレールメーカーは、国内市場だけでなく、海外市場への展開も積極的に進めています。アフリカやアジア、中東などの新興国でのインフラ建設需要が高まる中、中国のモノレール技術が輸出されることが予想されます。
(4)一帯一路イニシアティブの影響:中国が推進する一帯一路イニシアティブにより、アジアやヨーロッパを結ぶインフラ建設が加速しています。この中で、モノレールを含む鉄道インフラの建設が進むことが期待されます。
(5)プライベート企業の参入:中国のモノレール市場には、従来の鉄道車両メーカーだけでなく、電気自動車メーカー(主にBYD)などのプライベート企業も参入しています。競争が活発化することで、技術革新やサービス向上が促進されるでしょう。

これらの要因から、中国のモノレール市場は今後も成長が続くと予想されます。ただし、建設コストや維持管理コストが高いため、適切なプロジェクト選定や効率的な運営が重要です。

モノレール・ジャパン田村拓丸 記事編集者:田村拓丸 Takumaru Tamura
MJWS代表 ・ 編集室 デスク (Representative・Assistant editor)
モノレール運行会社との情報交換を基に、コミュニティ向けの講演を実施。モノレール関連記事の執筆や校正、デザイン画の構成・作成、モノレールインフラの維持発展を目指した多岐にわたる活動を展開。



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