モノレールに関するニュース&トピックス

モノレールニュース
-2026年度-

その他

インドネシア・ジャカルタ
「幻のモノレール」支柱の解体開始

2026.3.11

都市交通計画の失敗を象徴した未成インフラが、ついに撤去へ

インドネシアの首都ジャカルタで、長年放置されてきた未成モノレール計画の支柱撤去が2026年1月に始まった。対象となったのは、南ジャカルタのH.R.ラスナ・サイド通り沿いに残されていたコンクリート製の支柱群である。ジャカルタ州政府は2026年1月14日に解体作業の開始を公表しており、長年にわたり都市景観や交通安全の面で問題視されてきた「幻のモノレール」の痕跡が、ようやく撤去段階に入った。


建設途中で計画が中止されたジャカルタモノレール

ジャカルタのモノレール計画は、深刻な道路渋滞の解消を目的として2004年に建設が始まった。計画では市内中心部を結ぶ2路線のモノレール網が構想され、総延長は約29kmとされていた。具体的にはグリーンライン約14.8kmとブルーライン約14.2kmからなる都市交通ネットワークで、ジャカルタ中心部の業務地区や主要交通結節点を結ぶ新しい公共交通として期待されていた。しかし計画は当初から事業主体の変更や資金調達の問題を抱え、事業は安定して進まなかった。

2004年の着工後、資金問題により工事はまもなく停滞した。その後も事業者の変更などを経て計画再開が模索され、2013年には再び起工式が行われるなど一時的に再始動した。しかし駅配置や車両基地計画、用地確保、事業採算性、資金計画などをめぐる課題が解決できず、2015年にジャカルタ州政府が事業者との契約を打ち切り、計画は事実上中止された。

この結果、都市空間に残されたのは完成した路線ではなく、道路中央に並ぶコンクリート支柱だけであった。解体対象となった支柱は109本で、報道によっては「100本以上」と表現されている。これらの支柱はH.R.ラスナ・サイド通りの中央分離帯などに設置されており、都市景観を損なう存在として長年知られてきた。また交通安全の面でも問題が指摘され、柱の存在が事故の要因の一つになっていたとする見方もある。

撤去作業は2026年1月14日に開始され、約100本前後の支柱を段階的に解体する計画で進められている。ジャカルタ州政府は、これらの撤去作業が2026年9月頃までに完了する見通しを示しており、工期はおよそ8か月程度とされている。約20年近く都市に残されてきた未成インフラが、2026年になってようやく整理されることになる。

なお、報道でしばしば言及される約1,000億ルピアという金額は、モノレール支柱の撤去費用だけを指すものではない。この金額はH.R.ラスナ・サイド通り一帯の都市再整備を含む総事業費として示されたもので、道路改修、排水設備の改善、歩道整備、緑化などが含まれている。支柱解体はその一部として実施されるものであり、撤去と同時に道路空間の再整備が進められる計画である。

ジャカルタではその後、都市鉄道政策が大きく転換された。モノレール計画の代わりに、地下鉄(MRT)やライトレール(LRT)の整備が進められている。輸送力やネットワーク統合、建設・運営コストなどの観点から、これらの方式の方が都市交通として適していると判断されたとされる。その結果、ジャカルタのモノレール計画は実現することなく終わり、都市交通史の中で未成プロジェクトとして記録されることになった。

ジャカルタの未成モノレールは、単に計画が中止されたというだけでなく、都市の幹線道路上に多数の支柱が長期間残された点で特徴的な事例である。約20年にわたり都市の風景の中に残り続けた巨大なコンクリート柱は、「失敗した都市交通計画」の象徴として語られることも多かった。今回の撤去によって、ジャカルタはようやくその負の遺産を整理し、都市景観の改善と道路空間の再編へと進み始めている。世界のモノレール史の中でも、これほど長期間にわたり未成インフラが都市に残り続けた事例は珍しく、都市交通政策の転換を象徴する出来事の一つといえる。



モノレールニューストップへ戻る

モノレールウェブサイトジャパントップへ戻る
- mjws.org サイトトップへ戻る -
上部にリンクインデックスが表示されない場合はお手数ですが、
こちら インデックスページへ戻るをクリックして下さい。

Welcome to mjws!The index page is here.