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アルウェーグ式モノレールの試験線 ケルン・フューリンゲン
Fühlingen monorail test line
Straddle-beam monorail (ALWEG) system

1.アルウェーグ式モノレールの試験線 ケルン・フューリンゲン

アルウェーグ式モノレールの試験線は、その技術的検証と実用化のために設けられた重要な施設であり、特にドイツのケルン・フューリンゲンに位置する試験場がその中心的な役割を果たしました。この試験線は、モノレール技術の限界を探るべく、様々な条件下での走行試験を行うために設計されました。全長1.7kmのサーキット状のコースは、急勾配や高速度走行に対応するため、最大で45度の傾斜が設けられており、カーブの半径は135mと設定されていました。この設計により、時速130km以上での走行試験が可能となり、モノレールの高性能を実証する基盤となりました。

(c)Alamy

1952年10月8日に実施された初公開試運転では、ドイツの著名な鉄道技術者であるゲオルク・ホルツァーとヨーゼフ・ヒンケンの指導のもと、2.5分の1スケールの試験車両が投入され、技術的な検証が行われました。この車両はその後の試験で時速160kmから最大で時速180kmに達し、当時の技術水準を大きく上回る性能を示しました。この試験結果は、モノレール技術の実用化に向けたさらなる開発を促進し、アルウェーグ式モノレールの未来に重要な影響を与えました。

1956年には、サーキット線の一部を撤去、約2kmのフルスケールの試験線が新たに建設されました。この新しい試験線は、逆L字型の単線として敷設され、より実用的な試験を行うための基盤として機能しました。ここでは、後にトリノ博覧会で使用された「トリノモデル1961型」モノレール車両の試験も実施されました。この試験は、フューリンゲン試験場で行われた最後の重要な検証となり、出資者のウェナーグレン氏が逝去したことにより、アルウェーグ社の資金調達が困難となり、事業活動が縮小されるきっかけとなりました。

試験線は最終的に1967年に解体され、その跡地はフューリンガー湖という100ヘクタールの人造湖とレクリエーションエリアとして再開発されました。現在では、試験線の痕跡はほとんど残存しておらず、一部の遺構が湖底に沈んでいると考えられていますが、試験線の存在を示すモニュメントが設置され、当時の技術的挑戦の歴史を今に伝えています。
 
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ケルン・フューリンゲンでの試験は、その後開業するトリノ博モノレールや、シアトルモノレールに生かされた。
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