重慶江北国際空港モノレールシステム

- 重庆江北国际机场单轨捷运系统-
-江北国际机场单轨-
Chongqing Jiangbei International Airport Monorail System
重慶江北国際空港に導入された小型モノレール
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重慶江北国際空港モノレールシステム

1. はじめに

重慶市は、世界最長のモノレール営業線を運行していることで知られており、その主要空港である重慶江北国際空港(IATAコード:CKG)は、1990年1月22日に「重慶江北空港」として開港し、1998年3月に現在の名称へ改名された。2004年12月に第2ターミナルが開業し、2017年8月には第3ターミナル(T3A)が開業している。近年のデータによると、同空港の年間旅客数は4,480万人に達し、中国国内で第6位の規模を誇る。

2025年1月21日、T3ターミナルの拡張部であるT3Bターミナルが正式に竣工した。T3Bターミナルの建設は、第4滑走路の正式オープンに伴う主要プロジェクトの一環として進められており、T3Aターミナルを実質的に増設する形で計画された。しかし、T3AとT3Bの間には駐機場が配置されており、地上交通手段による移動が困難であることから、地下にトンネルを掘削し、モノレールを運行させることが決定された。

2. モノレールシステムの概要

本プロジェクトにより導入された小型モノレールは、T3AおよびT3Bターミナル間の移動手段として運用される。路線の延長は約2.36kmであり、移動時間は約3分と見積もられている。T3Bターミナルを過ぎた地点でトンネルは左方向へ向かい、車両基地に接続される構造となっている。この車両基地は、2022年頃まで駐機場脇の芝生地として利用されていた区域に新設された。

本モノレールの運行システムは、国際公共交通連合(UITP)が定める鉄道の自動運転水準(GoA: Grades of Automation)において、最高レベルのGoA4(完全自動運転)を採用している。これは運転士が不要であり、全自動で運行されるシステムである。日本国内においては、舞浜リゾートラインがGoA3、ゆりかもめがGoA4に相当する運行形態を持つ。

3. 技術的特徴

重慶江北国際空港の小型モノレールは、GoA4による全自動運転に加え、自動マーシャリングおよび再接続機能を備えた完全自立型システムとして設計されている。これは、旅客需要に応じて編成長を柔軟に変更できる仕組みであり、従来のモノレールの2両編成以上という制約を超え、通常は単両運行を基本とし、混雑状況に応じて2両または3両編成へ自動で組成を変更できるものである。

1両あたりの乗客定員は112人であり、3両編成時には最大336人の輸送が可能である。車両の設計においては、固定席9席、折り畳み席2席が配置され、中央部分は立席および荷物置きスペースとして活用される。車両の全高は4,715mmと、従来機種の5,300mmから585mm低く抑えられており、これはトンネル内運行を考慮し、内径5.9mの建築限界を満たすための設計上の調整である。

さらに、2駅間の全線にわたり複線構造が採用され、車両の最高速度は時速80kmに設定されている。また、運行に必要な車両は合計16両が配備される。

 重慶江北国際空港T3Bターミナル
重慶江北国際空港T3Bターミナル
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 重慶江北国際空港モノレール
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4. デザインとインテリア

本モノレールの車両は、重慶の都市の多様な魅力を反映したデザインが施されており、「ミニマリストの創造性を活用し、人間と自然、人間と都市、人間と文化の相互依存と相互支援を立体的に示す」というコンセプトに基づいている。車内にはOLEDスマートウィンドウおよびLEDインテリジェント照明が導入されており、リアルタイムで航空機の運行情報や空港内マップを表示する機能が備わっている。

5. 建設の経緯と運行開始時期

本モノレールシステムは、2020年11月25日にT3Bターミナルおよび第4滑走路の建設計画と同時に正式に着手された。2024年4月には初めての軌道桁の設置が開始され、夏には最初の営業車両の組み立てが行われ、試験線での設置および試運転が実施された。2024年11月28日には、車両が製造工場である重慶中車の施設から出荷され、江北国際空港の車両基地へ順次移送が進められた。

運行開始は2025年第1四半期が予定されており、T3Bターミナルの運用開始に合わせて営業が開始される見込みである。本プロジェクトは、空港内旅客輸送システムとして世界初の跨座型モノレールを導入するものであり、自動運転技術と可変編成システムの融合により、利便性の高い交通手段を提供することが期待されている。

重慶江北国際空港に導入された小型モノレールは、空港利用者の移動効率を飛躍的に向上させる先進的なシステムである。本プロジェクトは、完全自動運転(GoA4)や自動マーシャリング機能を備えた柔軟な編成システムの導入により、世界でも類を見ない革新的なモノレールシステムとなっている。今後の運行状況や旅客の評価を踏まえ、他の空港における同様のシステム導入の可能性が検討されることが期待される。


 


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