- デュッセルドルフ国際空港 スカイトレイン-
Flughafen Düsseldorf _Skytrain-
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1.デュッセルドルフ(Düsseldorf)国際空港「Skytrain」ドイツ連邦共和国の都市、デュッセルドルフ(Düsseldorf)中心部から北方8kmに、同国を代表する国際空港、デュッセルドルフ国際空港が配置される。この空港と途中の駐車場最寄り駅を介して近隣の鉄道駅(デュッセルドルフ空港ターミナル駅)とを接続するのが「Skytrain」として親しまれる懸垂式モノレール。
2.シーメンス「SIPEM」懸垂式モノレール「Skytrain」は、ドイツのシーメンス社が開発した「SIPEM」という方式の懸垂型モノレールシステムです。同システムが初めて採用されたのは、ドルトムント大学の「H-Bahn」で、その開業は1984年にまで遡ります。シーメンスの「SIPEM(Siemens People Mover)」は、ドイツの大手電機メーカー、シーメンス社が開発した懸垂式モノレールシステムです。このシステムは、空港や大学構内、大規模展示場など、比較的短距離かつ中規模の人の移動が求められる施設での運用を想定した自動運転の交通システムで、いわゆるピープルムーバーに分類されます。 SIPEM方式が初めて導入されたのは1984年で、ドイツのドルトムント大学に設置された「H-Bahn(ハンギング・バーン)」がその第1号となります。「SIPEM」という名称は、「SIemens PEople Mover」の頭文字を取ったもので、直訳すれば「シーメンス製の人を運ぶ装置」を意味しています。 このシステムの最大の特徴は、懸垂式、つまり車両がレールの下に吊り下がる形で運行される点にあります。走行は軌道内部に設けられたゴムタイヤによってなされるため、騒音や振動が非常に少なく、快適な乗り心地が実現されています。構造的には、フランスで発展したSAFEGE(サフェージュ)式モノレールとよく似ており、軌道の内側を車両が走行するという点でも共通しています。分岐装置や軌道の構成などにも、SAFEGE式と多くの共通点が見られます。 また、SIPEMは全自動運転が可能で、通常は無人での運行を前提としています。運行の制御や安全管理は、中央の制御センターによって一元的に行われるため、人的ミスのリスクが少なく、高い安全性が確保されています。さらに、システム全体はモジュール化された設計となっており、設置や拡張が比較的容易であることから、都市部の限られた空間でも柔軟に導入できるという利点があります。 実際の導入事例としては、初採用されたドルトムント大学の「H-Bahn」に加え、2002年に開業した「スカイトレイン・デュッセルドルフ空港」があります。スカイトレインは、空港ターミナルビルと鉄道駅、駐車場を結ぶ交通手段として現在も運行されており、SIPEMシステムの実用性の高さを証明しています。 3.「Skytrain」スカイトレイン・デュッセルドルフは、ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州にあるデュッセルドルフ空港とその周辺施設を結ぶ、懸垂式モノレール型の自動運転交通システムです。このシステムは2002年7月に開業し、空港の各ターミナルと長距離鉄道駅、ならびに空港併設の大型駐車場を効率よく接続することを目的に導入されました。開業以前は空港と鉄道駅を結ぶ手段としてシャトルバスが用いられていましたが、利便性と輸送効率を高めるため、ドイツのシーメンス社が開発したSIPEM方式の懸垂型モノレールが採用されました。スカイトレインの路線は、全線複線で構成されており、総営業距離は約2.5キロメートルです。設置されている駅は4つで、いずれの駅も島式ホームを備えた2線構造となっています。駅構成はユニークで、路線の一方の終点には、空港ターミナル内に「ターミナルA・B駅」と「ターミナルC駅」の2駅が建物内に分かれて設置されています。また、空港敷地内の駐車場施設に接続する「P4/P5駐車場駅」が中間地点に設けられており、ここではP5が屋内駐車場、P4が屋外駐車場をそれぞれ担当しています。もう一方の終点には、鉄道と接続する「スカイトレイン・デュッセルドルフ空港駅」が位置しており、ドイツ鉄道(DB)の幹線列車や地域列車と直結しています。 この4つの駅の間には、P4/P5駐車場駅とスカイトレイン空港駅の間に車両基地が設けられており、ここで車両の保守や点検、夜間の停泊が行われています。列車はすべて全自動運転に対応しており、運転士は乗車せずに無人で運行されます。1編成は2両で構成されたユニットとなっており、運転最高速度は時速50キロメートル、空港ターミナルと空港駅との所要時間はわずか5分と、非常に短時間でスムーズに移動できるのが特徴です。 スカイトレインの技術的な特長として、車両が高架上の軌道から吊り下げられる懸垂式構造が挙げられます。この方式では、軌道の内側をゴムタイヤが走行するため、騒音や振動が非常に少なく、快適で静かな運行が可能です。また、軌道構造や分岐装置はSAFEGE式と類似しており、構造面で高い安定性と安全性が確保されています。高架に設置された細身の軌道は、空港敷地の景観と調和するように設計されており、都市型インフラとしての洗練されたデザイン性も高く評価されています。
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