1.Qomモノレール
Qomモノレールとは、イランの主要都市として位置付けられるゴム市で進行中の大規模な都市交通インフラ計画です。プロジェクトは、まず6.8kmのモノレールラインと8つの駅で構成される第1フェーズから始まります。このフェーズには、車両基地と駐車場、電力供給システム、通信システム、信号システムなどのE&M機器の設置も含まれます。このモノレールは、Qom市内の主要な宗教施設や観光地を結び、市民の日常的な移動を大幅に改善することが期待されています。また、完成すれば1時間あたり12,000人の乗客を運ぶ能力を持つことになります。
Qom モノレール向け車両
FCFspa/メーカーサイト イタリアFCFspa |
図 ゴムモノレール 路線図
fig.Qom Urban Railway (Qom monorail) route map
青色で示す線が第一期計画路線(Stage1)、オレンジ色で示す線が将来計画路線(Stage2)となっています。
Qom monorail (c)Shutterstock.com |
2.Qom
Qomは、イランで8番目の人口を有する主要都市。首都テヘランからは南におよそ150km。さらにマシュハドの次に位置する偉大な巡礼地であり、世界中の何百万人もの巡礼者や観光客が訪れます。上記に示す事項のみならず、宗教奨学金制を配する最も重要な中心地でもあり、国内外の学生や学者がこの都市にあつまっています。Qomはイラン国内における重要な接続都市としても機能しており、北部と南部および南西部と中央部の州を接続しています。Qomが持つ都市機能、ひいてはイラン国内の主要都市としての健全性を維持するため、同都市では都市交通と交通計画を非常に重要な位置付けとしています。Qomモノレールシステムの建設は、この計画の一部を構成するもので、主に交通混雑の緩和に貢献するものと期待されます。
Qomモノレールの路線計画は、第一段階と第二段階に分けて計画されています。第1段階では、路線長約6.8キロメートル、8つの駅、1つの車両整備場および車両基地、E&M装置(電源システム、通信システム、信号システム)、そして20台のモノレール車両から構成されます。これらは、MAPNA Co.、Kayson Co.&MRC Co.を含む3国間のコンソーシアムによって進められる予定となっています。
3.Qomモノレールの概要
イラン初のモノレールプロジェクトとなったQomモノレール。同計画は、EPC契約の枠内でMAPNAグループとKayson Companyの合弁会社によって進められる事となります。計画ルートの第一段階では、全8つの駅で構成される6.8kmのルートで建設が計画されており、工期は建設開始からおよそ30ヶ月が予定されており、当初は2015年の完工が計画されていました。
営業運転の平均速度は40km / h、4分間隔での運行が可能とされています。
営業の初期段階では12,000人、開業後の2026年には19,000人の乗客を運ぶように設計が成されています。
4.中断から現在の状況
Qomモノレールの建設は2009年に開始されましたが、資金不足や技術的な課題により度々中断されてきました。2015年には試運転が行われましたが、その後も建設は停滞していました。しかし、2024年現在、プロジェクトは再び進行中であり、Qom市政府は今後の進展を見据えて計画を進めています
|