
モノレールデータベース

モノレールの軌道サイズ(寸法)一覧を表に示します。
廃線または運用外となった車両についても混在表示させていただきます。
| 1.モノレールの軌道サイズ(寸法)一覧 跨座式モノレールには、メーカーや路線ごとの要求に応じて多様な軌道桁規格が存在し、同一メーカー内でも複数の寸法が採用されている。これらの軌道桁サイズについて横幅を基準とした比較ランキングを作成すると、最も大きいものは日本ロッキード式やALWEG式に代表される900mm級であり、続いて日立製作所の大型タイプが850mm、中型タイプが800mm、小型タイプが700mm級に位置する。またボンバルディアのINNOVIA300やINNOVIA200、東芝式、ディズニー式など、世界の様々なメーカーからも特有の寸法体系が展開されている。これらの寸法は、縦幅や断面積とも併せて比較されるが、鋼軌道桁はスパン長に応じて縦幅が大きく変化するため、横幅による分類がより中立的な基準となっている。 日本国内では黎明期に東芝、日本ロッキード、日立製作所の三社が跨座式モノレールを手掛け、各社が独自の軌道桁寸法を採用した。日立は当初800mm×1500〜1300mmの仕様を東京モノレールや名鉄犬山線へ提供していたが、その後、大型・中型・小型の標準規格を整備し、国内外で広く採用されるようになった。一方、世界的には日立、ボンバルディア、Scomiの三社が主要メーカーとして市場に大きな影響力を持ち、サンパウロやパナマ、アジア諸国など大規模路線の多くがこれらのメーカーの規格によって建設されている。特に重慶のモノレールは長大な延長距離を誇り、世界的にも注目されている。 懸垂式ではSAFEGE式モノレールが広く知られ、日本では三菱重工業が主体となって展開し、東山動植物園、湘南、千葉で運用された。欧州ではシーメンスがさらに小型化した仕様を展開し、近年は中国のCRRCによって同様のスケールのシステムが開発されているが、この方式が日本ほど他国で拡大した例は少ない。 各軌道タイプの詳細をみると、日本ロッキード式は特殊な軌条システムを採用し、寸法は軌条を含め1008mm×1662mmであったが、この方式の路線はいずれも廃止されている。ALWEG式は世界的に知られ、シアトルやイタリアのQomで運用される900mm×1500mmの規格が代表的である。日立製作所の大型タイプは日本跨座式標準規格として広く普及し、北九州、大阪、多摩、重慶、大邸に採用され、スパンに応じて桁高が1500mmから1800mmに拡大する例もある。中型タイプは800mm×1400mmで、東京モノレールや犬山線など初期型に加えて、沖縄やジュメイラのように美観を重視した長スパン対応型も存在する。ScomiのSUTRA方式も800mm×1400mmを採用し、マレーシア、インド、ブラジルで導入されている。 日立の小型タイプは700mm×1300mmでセントーサエクスプレスに使用され、軽量で都市向けの仕様となっている。ボンバルディアのINNOVIA300は690mm×1500mm、INNOVIA200は660mm×1220mmで、ラスベガスやディズニー、サンパウロの各路線で採用されている。東芝式は600mm×1200mmと比較的小型で、奈良と横浜のドリームランドで使用されていたがいずれも廃線となっている。さらにディズニーカリフォルニアの510mm×880mmや、VonROLL社の独特な鋼製箱型桁、アーバノート方式の1100mm×1200mm、中国以前の主力方式であったラルティーグ式など、跨座式・懸垂式以外にも様々なバリエーションが存在する。 懸垂式の代表格であるSAFEGE式は2150mm×2100mmという大きな外形寸法を持ち、内筒部の寸法や開口部寸法も特徴的である。国内では標準タイプとして位置付けられ、オレルアン試験線から始まり、東山動植物園、湘南、千葉都市モノレールへと展開された。 以上のように、モノレール軌道桁の規格は世界各地で多様な発展を遂げ、軌道寸法は構造形式や設置環境、メーカーの技術的思想を反映した多彩なものとなっている。歴史的背景や採用路線の違いも含めた詳細比較は、モノレール技術の進化を理解するための貴重な資料となっている。 解説・田村拓丸(モノレール・ジャパン編集室デスク) |
| モノレールの軌道サイズ(寸法)一覧 | |||||
| 順位 | 軌道タイプ (サイズ(寸法)) |
採用路線 | 軌道サイズ(寸法) | ||
| 横幅 | 縦幅 | 断面積 | |||
| [mm] | [mm] | [m2] | |||
| 1 | ![]() 日本ロッキード |
廃)姫路市営モノレール(日本) 廃)小田急向ヶ丘遊園線(日本) |
900 (1008) |
1502 (1662) |
1.35 |
![]() ・ALWEG ・FCFs.p.a |
シアトル(USA) ゴム(イタリア) |
900 | 1500 | 1.35 | |
| 3 | ![]() ・日立大型 (日本跨座式) L=20,22 ![]() L=30 (大邸) |
北九州(日本) 大阪(日本) 多摩(日本) 重慶(中国) 大邸(韓国) |
850 | 1500 1800(大邸) |
1.28 1.53 |
| 4 | ![]() ・日立中型 (日本跨座式) ![]() (ジュメイラ) |
廃)犬山(日本) 東京(日本) 廃)大阪万博(日本) 沖縄(日本) ジュメイラ(UAE) |
800 | 1400 1600(ジュメイラ) |
1.12 1.28 |
・Scomi |
KLモノレール(マレーシア) ムンバイモノレール(インド) ‡サンパウロメトロ17号線(ブラジル) ‡サンパウロメトロ18号線(ブラジル) |
800 | 1400 | 1.12 | |
| 5 | ![]() 日立小型 |
セントーサエキスプレス (シンガポール) |
700 | 1300 | 0.91 |
| 6 | ![]() ・ボンバルディア(INNOVIA300) |
サンパウロメトロ15号線(ブラジル) ‡リヤド(サウジアラビア) |
690 | 1500 | 1.04 |
| 7 | ![]() ・ボンバルディア(INNOVIA200) ・ディズニー (フロリダ) |
ラスベガスモノレール ディズニー フロリダ |
660 | 1220 | 0.81 |
| 8 | ![]() ・東芝 |
廃)奈良ドリームランド(日本) 廃)横浜ドリームランド(日本) |
600 | 1200 | 0.72 |
| 9 | ![]() ・ディズニー (カリフォルニア) |
ディズニー カリフォルニア | 510 | 880 | 0.45 |
| etc | ![]() |
廃)TNTハーバーリンク ゴールドコースト (参考表記) |
940※ 700 |
832 | 0.58 |
| etc | ![]() |
Urbanaut式モノレール軌道桁 (参考表記) |
1100 | 1200 | 1.32 |
| etc | ![]() |
Lartigue式モノレール軌条 (参考表記) |
- | - | - |
| etc | ![]() |
SAFEGE式モノレール軌道桁 (参考表記) サイズ分類の定義が曖昧であるため 参考表記とした。 |
2150 1450 |
2100 1475 |
4.52 2.14 |
| 記号の意味 ‡:予定 、 廃):廃線 ※上部フランジ部で幅940mm、箱桁部で幅700mm |
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2.モノレール軌道寸法分野別比較
2項では、各分野別にモノレール軌道サイズ(寸法)の比較を行います。
| 2-1.日本国内マニュファクチャラー比較 | |
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| 2-1.日本国内マニュファクチャラー比較 日本国内における跨座式モノレールの黎明期には、実に3社のマニュファクチャラーが競い合う状況にあった。東芝、日本ロッキード社(川崎重工と提携)、そして日立製作所である。東芝はドリームランド線などで使用された「東芝式モノレール」を開発し、アルウェーグ式をベースにした独自の跨座式システムとして大船ドリームランド線などに採用された。 一方、日本ロッキード社はアメリカ・ロッキード社の技術を導入し、向ヶ丘遊園モノレールや姫路市営モノレールにロッキード式モノレールを供給したが、これらの路線はいずれも既に廃止されている。 日立製作所は1960年にドイツのアルウェーグ社から技術導入を行い、1962年の名鉄犬山モンキーパーク線、1964年の東京モノレール開業を通じて、日本における跨座式モノレールの量産と実用化を一気に押し進めた。 その際に用いられた軌道桁は、おおむね横幅800mm前後・縦幅1300〜1500mm級の断面を持つもので、のちに整理される「日本跨座式」規格の原型となったといえる。後年、日立はこの経験を基に、軌道桁断面が大型0.85m×1.5m、中型0.8m×1.4m、小型0.7m×1.3mという三タイプから成る標準シリーズを整備し、北九州・大阪・多摩などの国内路線に加え、重慶や大邱、セントーサなど海外プロジェクトにも展開していった。 こうした複数方式の乱立を受けて、1960年代後半には日本モノレール協会などが中心となり標準化作業が進められ、跨座式では日立を中心とした「日本跨座式」、懸垂式ではサフェージュ式を基本とするという整理が行われた。 その結果、東芝式やロッキード式といった初期の方式は次第に姿を消し、現在では日立製作所の大型・中型・小型という標準規格をベースにしたモノレールシステムが、日本国内のみならず世界市場における事実上の主流となっている。 解説・田村拓丸(モノレール・ジャパン編集室デスク) |
| 2-2.世界規模モノレールマニュファクチャラー比較 | |
![]() |
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| 2-2.世界規模モノレールマニュファクチャラー比較 2010年代当時の世界の跨座式モノレール市場を概観すると、中国メーカーを除外した場合、主要プレイヤーはボンバルディア(カナダ)、日立製作所(日本)、そしてマレーシアのScomiの3社であり、これらが世界の商業モノレール案件の大半を受注していた。ボンバルディアはINNOVIA 200および300シリーズを展開し、北米やブラジル、アジアで複数のプロジェクトを獲得していた。日立製作所は、日本国内で育てた跨座式技術を基盤に、中国・重慶の大規模路線や韓国・大邱の都市モノレールなど、海外展開を一気に加速させていた。Scomiは、マレーシア・KLモノレールやインドのムンバイモノレールに代表される中型モノレールを供給し、東南アジアおよび南アジア圏で存在感を示した。 これら3社が市場の中心に位置していた背景には、各社が保有する軌道桁寸法を含む基本規格が、国際入札案件における事実上の標準として扱われていたことがある。特にブラジル・サンパウロでは、15号線にボンバルディア、17号線および18号線にはScomiが選定され、南米最大の都市圏で複数の方式が導入されることとなった。また、パナマでの新規導入計画、東南アジア諸国での都市交通需要の増加などにより、各社の規格が国際的に固定化されていった。 日立製作所は日本国外での実績を急速に伸ばしており、その象徴的事例が中国・重慶軌道交通2号線および3号線である。両路線は合計約86kmに及ぶ長大路線で、当時としては世界最大規模の跨座式モノレールシステムであった。これにより、日立の技術は「信頼性の高い大量輸送型モノレール」として世界的な評価を受けることになった。 同時期には、中国のCRRCをはじめとする国内メーカーも急速に台頭し始め、以後の市場はさらに多極化していくことになるが、2000年代突入時点ではボンバルディア・日立・Scomiの3社が国際市場で圧倒的な存在感を持ち、世界の都市モノレール案件の中心を占めていた。 解説・MJWS編集室 校閲・田村拓丸(MJWS) |
| 2-3.SAFEGE式モノレール | |
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![]() 東山動植物園に導入されたサフェージ式モノレール |
| 2-3.SAFEGE式モノレール SAFEGE式モノレールは、懸垂式モノレールの中でも国際的に最もよく知られた方式の一つであり、その独特の「箱桁内部に車両が吊り下がる」構造によって高い安全性と悪天候に強い特性を備えている。本方式はフランスのサフェージュ社(Societe Anonyme Francaise d'Etude de Gestion et d'Entreprises)によって開発され、1950年代にオレルアン実験線で本格的な試験が行われた。この実験線は当時としては極めて先進的な都市交通システムの試みであり、車両が箱形の軌道桁内部を走行するという革新的な構造は、懸垂式モノレールの安全性向上に大きく寄与した。 日本国内では、三菱重工業がSAFEGE方式を導入し「三菱サフェージュ式モノレール」として商品化した。国内で営業運転された路線は、名古屋市東山動植物園の園内交通システム(日本初のSAFEGE式)、湘南モノレール、そして千葉都市モノレールの3路線である。とりわけ千葉都市モノレールは現在でも世界最長の懸垂式モノレールとして知られ、SAFEGE方式の技術力と信頼性を象徴する存在となっている。 一方、オレルアン実験線以降、フランスや欧米では日本のように大規模な商業路線としてSAFEGE方式がそのまま普及することはなかった。ヨーロッパでは、安全性と省スペース性を活かしつつ、より小型・軽量化されたSAFEGE派生方式がシーメンスによって開発され、都市部のシャトル輸送を想定したシステムとして展開された。しかし、日本のように長大路線として採用された例は見られなかった。 近年では、中国の大手鉄道メーカーである中国中車(CRRC)が、シーメンス方式に近いスケールの懸垂式モノレールシステムを開発し、重慶・青島・武漢など複数都市で建設が進められている。これらはSAFEGE方式そのものではないものの、箱桁内部を走行する構造や懸垂式のメリットを継承したシステムとして位置付けられ、新たな市場で存在感を強めつつある。 このようにSAFEGE式モノレールは、実験線から始まり、国内では三菱重工業の主導で実用化され、世界では派生方式が各地で進化するなど、懸垂式モノレールの発展に大きな影響を与え続けている。 解説・MJWS編集室 校閲・田村拓丸(MJWS) |
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3.モノレール軌道タイプ別詳細
項1[1.モノレールの軌道サイズ(寸法)一覧]に解説を加えたものを次に示しました。
| モノレール軌道タイプ別詳細(跨座式) | |
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軌道タイプ:(900(1008)mm×1502(1662)mm) ・日本ロッキード式モノレール |
| 概要 日本ロッキード式モノレールは、アメリカ・ロッキード社の技術を基礎に、日本ロッキードモノレール社が独自の改良を加えて開発した跨座式モノレール方式である。その軌道桁は、上部に走行用として50Tレール、下部左右に安定用として22kgレールを配置し、これらを弾性ゴムタイヤで挟み込むように走行する特殊な駆動方式を採用していた。一般的なアルウェーグ方式がコンクリート軌道桁の側面を走行輪で支える形式であるのに対し、日本ロッキード式は「レールによる案内」を重視した構成で、鉄道車両技術とゴムタイヤ方式を組み合わせた独特の設計思想を持っていた。 軌道桁の寸法は、桁本体のみの場合で幅900mm・高さ1502mm、軌条部分を含めた実寸では幅1008mm・高さ1662mmとなり、同時期の国内他方式と比べても比較的大型の断面を持っていた。この構造は高い安定性を期待された一方、特殊な軌道形式が保守の負荷やコスト増につながり、後年の普及には至らなかったとされる。 日本における採用例としては、姫路市営モノレールと小田急電鉄向ヶ丘遊園モノレール線の2路線が挙げられる。いずれも1960年代に開業し、都市の新しい交通方式として意欲的に導入されたが、いずれも運営面で課題を抱え、姫路線は1974年、向ヶ丘遊園線は2001年に廃止された。特に姫路市営モノレールでは、駅舎一体型の構造や高架美観を含む斬新な都市計画が試みられたものの、需要予測と実利用の乖離が大きく、路線は短命に終わっている。 |
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| 採用路線 ・姫路市営モノレール(日本) ・小田急電鉄向ヶ丘遊園線(日本) ![]() |
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軌道タイプ:(900mm×1500mm) ・FCFspa・ALWEG |
| 概要 | |
| 採用路線 1.シアトル(USA) 2.Qom(イタリア) ![]() Qom monorailの軌道桁 (c)shutterstock |
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![]() L=22タイプ ![]() L=30タイプ (大邸:韓国) |
軌道タイプ:(850mm×1500mm) 桁長(L=):19.975m(北九州) 桁長(L=):21.970m(大阪、多摩) 桁長(L=):29.950m(大邸) ・日立製作所大型モノレール(日本跨座式大型) ![]() 韓国の大邸モノレール (c)shutterstock 北九州モノレール(MJWS田村) |
| 概要 日立製作所が展開する日本跨座式モノレールの大型仕様は、軌道桁断面が幅850mm・高さ1500mmに規格化された標準タイプであり、国内外で最も広く採用されているモノレール軌道形式の一つである。この規格は、日本で跨座式モノレールの標準化が進められた1970年代以降、日立が主導して確立したもので、同社のモノレールシステムを世界市場へ展開する際の基盤となった。 軌道桁長は路線環境に応じて数種類が用意されており、北九州モノレールでは約20m、大阪モノレールと多摩モノレールでは約22mの桁長が採用されている。一方、海外展開の象徴とされる韓国・大邱(テグ)モノレールでは、都市景観を重視した設計思想から基準桁長が30mに延長され、それに合わせて軌道桁高さも1800mmへと拡大した。この仕様はPC軌道桁としては最大級であり、大邱線全体の約83%が30m級の長スパン桁で構成されるという点でも特筆される。 この大型規格は国内ではまず北九州で1985年に導入され、1990年に大阪、1997年に多摩モノレールと続き、都市規模や輸送需要に応じた柔軟な路線設計を可能にしてきた。その後、日立製作所は同規格を海外にも展開し、2005年に開業した中国・重慶の2号線および3号線に大規模導入を果たした。特に重慶モノレール3号線は、開業当時「世界最長の跨座式モノレール路線」としてギネス世界記録を獲得し、重慶市を象徴する公共交通インフラとして国際的に注目された。一方、2号線も世界有数の延長距離を持ち、両路線を合わせた総延長は跨座式モノレールとしては比類のない規模といえる。 さらに、この大型規格は韓国・大邱をはじめ、パナマシティで建設計画が進められている新規モノレール路線にも採用が予定されており、現代の都市交通需要に即した大量輸送型モノレールとして、国際的な存在感を高め続けている。 |
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| 採用路線 1.北九州(日本:1985) 2.大阪(日本:1990) 3.多摩(日本:1997) 4.重慶(中国:2005) 5.大邸(韓国:2015) 6.パナマシティ(パナマ:2026)
![]() 大型を採用した大阪モノレールおよび多摩モノレール(MJWS田村) |
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軌道タイプ:(800mm×1400mm) 桁長(L=):19.960m ・日立製作所(初期型)モノレール |
| 概要 日立製作所が初期に開発した跨座式モノレールの中型軌道桁は、幅800mm・高さ1400mmという断面寸法を持つ標準的な仕様であり、同社のモノレール技術において極めて重要な位置を占めている。このタイプは、のちに「日本跨座式中型」として整理される規格の原型にあたり、同社が世界市場へ展開する際の主力モデルとして長く採用され続けた。桁長はおよそ19.96mで、初期の都市交通用モノレールとして最適化された長さである。 800mm×1400mmの軌道桁は、その汎用性と都市空間への適合性の高さから、日立の大型規格(850mm×1500mm)と並び、同社が開発した中で最も普及した規格のひとつである。名鉄犬山モンキーパークモノレール線および東京モノレールでは、電車線を軌道桁の下側に設置した「下向き集電方式」が採用されており、これも初期仕様の特徴として位置づけられる。 同一寸法の軌道桁は、後年の日立製作所中型(日本跨座式中型)規格にも受け継がれ、さらにマレーシアのScomi社が開発したSUTRAモノレールシステムでも同寸法が採用されるなど、国際的にも広く普及した。特にアジア諸国や中東の都市で採用される中型モノレールは、この800mm規格が実質的な標準として扱われることが多く、現在では世界的に見ても最も一般的な跨座式モノレール軌道桁のサイズといってよい。 採用例として、名鉄犬山モンキーパークモノレール線(1962年開業)は、日本のモノレール史において初期の重要な事例であり、日立がアルウェーグ方式を導入して間もない時期に実用化された路線である。また、東京モノレール(1964年開業)は、この中型規格を基本としながら、首都圏の空港アクセスとして長年にわたり高頻度運転を続け、世界的にも成功したモノレール路線の代表例となった。 |
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| 採用路線 1.名鉄犬山モンキーパークモノレール線(日本) 2.東京モノレール(日本) ![]() |
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![]() L=20タイプ ![]() L=28タイプ ジュメイラ(UAE) |
軌道タイプ:(800mm×1400mm) 桁長(L=):19.970m(沖縄) 桁長(L=):28.000m(ジュメイラ) ・日立製作所中型モノレール(日本跨座式中型) |
| 概要 日立製作所が展開する日本跨座式モノレールの中型規格は、幅800mm・高さ1400mmの軌道桁断面を持ち、同社の標準規格体系において大型に次ぐ中核的な位置づけにある。初期のオリジナルタイプと同じ寸法を採用しつつも、架線(電車線)の配置方式が改良され、従来の下向き集電方式ではなく、日本跨座式の標準である「側方架線方式」を正式に採用した点が大きな特徴である。この変更により、保守性の向上や車両設計の柔軟性が高まり、以降の日立製モノレールの中型規格は国内外で長く活用されることとなった。 軌道桁の高さは、軌道桁長約20mを基準として1400mmに設定されている。これは都市部での景観調和や道路・建物とのクリアランス確保を考慮して最適化された寸法である。一方、UAE・ドバイのジュメイラモノレールでは、観光地であるパーム・ジュメイラの景観を最大限重視する設計方針から、より長い28mスパンのラーメン構造桁を採用した。長スパン化に伴い桁高さは1600mmの拡大型となり、中型規格の中では最も大型に分類される仕様となっている。これにより、橋脚数を削減し開放感のある景観を確保するだけでなく、海上区間における施工効率の向上が実現した。 この中型規格が採用された路線には、1970年の大阪万博会場内モノレール、2001年開業の舞浜リゾートライン、2003年に開業した沖縄都市モノレール「ゆいレール」、そして2009年に開業したジュメイラモノレールがある。 |
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| 採用路線 1.大阪万博(日本) 2.沖縄(日本) 3.ジュメイラモノレール(UAE) ![]() |
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軌道タイプ:(800mm×1400mm) ・Scomi |
| 概要 マレーシアの企業 Scomi Engineering(旧・Scomi Rail)によって開発された「Scomi SUTRA(Scomi Urban Transit Rail Application)」は、東南アジアを中心に展開された跨座式モノレールシステムであり、その軌道桁には日立製作所中型規格と同寸法となる幅800mm・高さ1400mmの断面が採用されている。Scomiは、日本のモノレール技術を参照しつつ独自の軽量化や車両設計を行い、比較的コストを抑え、発展途上国の都市交通需要に応じた中型クラスのモノレールを提供するメーカーとして成長した。 この800mm×1400mmの軌道桁は、都市部の限られた空間における建設性や、美観・環境面での制約に対応しやすい点から、Scomiの標準規格として位置づけられていた。特に、車両重量を抑えた設計と組み合わせることで、橋脚間隔を確保しつつ施工費を削減できる利点があり、新興国の交通インフラ整備において魅力的な選択肢となった。 SUTRA方式は、マレーシアの首都クアラルンプールにおけるKLモノレールでの導入を皮切りに、同国での実績を基盤として海外へ進出した。インドのムンバイモノレールでは、インド初のモノレールとして採用され、複雑な都市構造を持つムンバイの都市交通で新たな選択肢を提示することとなった。ブラジルでは、サンパウロ大都市圏の大規模都市鉄道計画において17号線および18号線のモノレール方式として選定され、南米における中型跨座式モノレールの普及を後押しする重要なプロジェクトとなった。 ただし、サンパウロの両路線はプロジェクト進行の遅れや契約解消の問題もあり、必ずしも計画通りに進んだわけではないが、Scomiの中型モノレール技術が国際市場で一定の評価を得ていたことを示す代表例である。総じて、Scomiの800mm×1400mm規格は、軽量・中型クラスの跨座式モノレールとして、アジア・南アジア・南米と多様な地域で採用された実績を持ち、日立製作所の中型規格とともに、世界の中型モノレール市場を構成する主要な寸法体系の一つであったといえる。 |
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| 採用路線 1.KLモノレール(マレーシア):Scomi 2.ムンバイモノレール(インド):Scomi 3.サンパウロメトロ17号線(ブラジル)Scomi(中止→BYD引継ぎ) 4.サンパウロメトロ18号線(ブラジル):Scomi(中止) ![]() Scomi社製モノレールシステムを採用するKLモノレールおよびムンバイモノレール いずれも (c)shutterstock |
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軌道タイプ:(700mm×1300mm) 桁長(L=):19.475m ・日立製作所小型モノレール(日本跨座式小型) |
| 概要 日立製作所が開発した日本跨座式モノレールの小型規格は、軌道桁断面が幅700mm・高さ1300mmと、同社の標準シリーズの中で最もコンパクトな仕様となっている。桁長は約19.5mで、都市部の狭隘空間や観光施設内の交通など、軽量・小規模なインフラを求める環境に適した設計が特徴である。この小型タイプは、大型・中型規格で培われた日立の跨座式モノレール技術を基盤としており、走行安定性や安全性といった基本性能は維持しつつ、構造物規模の縮小や建設コストの抑制を実現している。 日本跨座式シリーズに小型タイプが正式に加わった背景には、アジア諸国における観光需要の拡大と、都市機能の一部として導入できる軽量交通システムへのニーズが高まったことがある。特に都市景観や観光地の環境保全と両立させる交通システムとして、小型・低騒音・低振動のモノレール方式は高い適合性を持っていた。 この小型規格の代表的な導入例が、シンガポールの「セントーサエキスプレス」である。2007年に開業した同路線は、セントーサ島の観光アクセスを担うモノレールとして設計され、島内の自然環境やリゾート景観に調和するよう高架構造が最小限に抑えられた。車両も小型軽量で、頻繁な折返し運転や短距離区間での利用を前提とした設計となっており、日立の小型跨座式システムの特長が最大限に活かされている。 |
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| 採用路線 1.セントーサエキスプレス(シンガポール) ![]() セントーサエキスプレス (c)shutterstock |
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軌道タイプ:(690mm×1500mm) ・ボンバルディア(INNOVIA300) |
| 概要 ボンバルディアが展開する INNOVIA 300 モノレールシステムは、幅690mm・高さ1500mmの軌道桁を用いる中型?大型クラスの跨座式モノレールであり、同社が長年培ってきた都市交通向けモノレール技術の集大成となるモデルである。INNOVIA シリーズは世界のモノレール市場をけん引する「ビッグスリー(日立・ボンバルディア・Scomi)」の一角を構成し、その技術は高い輸送力と安定性を備え、大規模都市交通へ対応できる点が最大の特徴である。 とりわけ INNOVIA 300 は、従来の INNOVIA 200 を発展させた最新世代のシステムで、軌道桁寸法690mm×1500mmの堅牢な構造に加え、自動運転(GoA4)への対応、曲線通過性能の向上、静粛性の改善など、現代都市の需要に応える多くの技術が盛り込まれている。また、ボンバルディアは中国・CRRCとの合弁を通じ、同システムを世界市場向けに量産供給できる体制を構築しており、アジア圏を中心としたさらなる普及が見込まれている。 INNOVIA 300 の代表例として知られるのが、ブラジル・サンパウロ都市圏に建設されたメトロ15号線(シルバーライン)である。同路線は全自動運転を採用した高架モノレールとして計画され、その輸送力と延伸計画の規模から、開業後には「世界最大のモノレール路線網の一翼を担う存在」へと成長しつつある。サンパウロ市は都市圏人口2,000万を超える超大都市であり、INNOVIA 300 の大量輸送能力がフルに発揮される象徴的なプロジェクトとなっている。 さらに、2017年にはタイのバンコク首都圏において、ピンクラインおよびイエローラインという2路線の大型案件をボンバルディアが獲得した。これらの路線も INNOVIA 300 に準拠したシステムが採用され、完成すればアジア地域で最大級のモノレールネットワークの中核を形成することが期待されている。バンコク都市圏の交通混雑を大幅に改善する目的で進められたこれらの路線は、INNOVIA 300 の国際的評価をさらに高める役割を果たしている。 |
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| 採用路線 1.サンパウロメトロ15号線(ブラジル) 2.タイ ピンクライン 3.タイ イエローライン 4.蕪湖軌道交通(中国) 5.エジプト 新行政首都線 6.エジプト 10月6日市線 ![]() サンパウロメトロ15号線 エジプトカイロ 新行政首都線 ![]() タイ イエローライン・ピンクライン |
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軌道タイプ:(660mm×1220mm) ・ディズニー(FL)、ボンバルディア(INNOVIA200) |
| 概要 ボンバルディアが開発した INNOVIA 200 シリーズは、幅660mm・高さ1220mmの軌道桁を採用する跨座式モノレールであり、同社のモノレール技術の中でも軽量・中型クラスに位置づけられるシステムである。この規格の特徴は、比較的スリムな軌道断面により建設空間を必要最小限に抑えられる点で、既存インフラ密度の高い都市や、レジャー施設を中心とした中規模需要の交通システムに適している。 INNOVIA 200 の代表的な採用例のひとつが、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのモノレールシステムである。ディズニーモノレールは、世界で最も知名度の高いモノレールの一つであり、テーマパークの象徴的存在として長年愛されてきた。もともとアルウェーグ方式を基に開発されたが、ボンバルディアの技術導入によりシステムの更新が進められ、INNOVIA シリーズとして体系化されたなかで660mm×1220mmの軌道規格が事実上の標準として定着した。広大なリゾート内を効率的に結び、1日数万人規模の来園者輸送を支える高い信頼性と快適性は、この規格がレジャー交通に適していることを示している。もうひとつの代表例が、アメリカ・ネバダ州のラスベガスモノレールである。ラスベガスのホテル群を縦断する同路線は、都市観光型の交通システムとして整備され、混雑する地上交通の代替として機能している。INNOVIA 200 の軽量軌道桁は大型ホテル群が密集する市街地に適合し、ホテル建物との近接高架区間にも対応できる柔軟性が評価された。 |
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| 採用路線 1.ディズニー フロリダ(USA) 2.ラスベガス(USA) ![]() |
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軌道タイプ:(600mm×1200mm) 東芝跨座式モノレール |
| 概要 東芝が開発した跨座式モノレールシステムは、幅600mm・高さ1200mmという比較的小型の軌道桁を採用しており、日本のモノレール黎明期に登場した方式のひとつである。大型化・標準化が進む以前の時代に開発されたため、断面寸法は後年登場した日立式やボンバルディア式と比べて小さく、跨座式モノレールとしては最小クラスに属する規格であった。この規模感は、遊園地やレクリエーション施設を対象とした軽量・短距離輸送を想定していた当時の設計思想を反映している。 |
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| 採用路線 1.奈良ドリームランド(日本) 2.横浜ドリームランド(日本) ![]() 奈良ドリームランドのモノレール廃線軌道 ※現在は撤去済 |
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軌道タイプ:(510mm×880mm) ・ディズニー (CA) |
| 概要 | |
| 採用路線 1.ディズニー カリフォルニア(USA) |
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軌道タイプ: (フランジ部940mm・箱桁部700mm×832mm) ・Vonroll |
| 概要 スイスの機械メーカーであった Von Roll 社が開発したモノレールシステムは、鋼製の箱型桁を用いる小型跨座式モノレールとして知られ、独特の構造方式を採用している。軌道桁の断面は、上部フランジ部分で幅約940mm、箱桁本体で幅700mm・高さ832mmというコンパクトな寸法で構成され、軽量で施工しやすい点が大きな特徴である。 Von Roll 式モノレールは、一般的な跨座式モノレールに見られる「安定輪(スタビライザー・ホイール)」の配置が独自である。通常の跨座式では、車両の左右外側に安定輪を設置し、軌道桁を挟み込むことで横方向の安定性を確保する。しかし、Von Roll 方式では安定輪が走行輪と同じく桁上部フランジ付近にまとめて配置されており、上部フランジを車輪が下側から支えるという、ほかの跨座式とは異なる構造を採用している。この特殊なホイール配置により、桁の小型化と車両の軽量化が可能となり、遊園地やリゾート施設などの短距離・中小規模の輸送システムに適した方式となった。 代表的な導入例としては、オーストラリア・シドニーの「TNTハーバーリンク・モノレール」と、クイーンズランド州のゴールドコースト・モノレールが挙げられる。いずれも都市型観光地を走る比較的短距離の路線として運用され、コンパクトな桁断面と軽快な車両構造を活かした導入が行われた。これらの路線は、都市景観との調和や省スペース性が求められる環境において、Von Roll 式モノレールの特性が十分に発揮された事例である。 |
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| 採用路線 1.TNTハーバーリンク(シドニー(オーストラリア)) 2.ゴールドコースト |
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| モノレール軌道タイプ別詳細(その他-アーバノート) | |
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軌道タイプ:1100×1200mm Urbanaut |
| 概要 アーバノート(Urbanaut)方式のモノレール軌道桁は、幅1100mm・高さ1200mmの断面寸法を持つシステムであり、跨座式モノレールの一系統として分類される。TMS(交通モビリティシステム)における分類上では「逆T字方式」に位置付けられ、一般的な跨座式モノレールとはやや異なる構造的特徴を備えている。 アーバノート方式は、軌道桁の中央部に案内軌条を設け、それを車両の案内輪が挟み込むように走行する構造を採用しており、この点は中央軌条方式のAGT(新交通システム)と共通する部分が多い。当サイトではAGT路線も広義のモノレールとして扱っているため、このアーバノート方式も同様に「中央軌条案内型のモノレール」に含まれる方式として取り上げている。ただし、一般的な跨座式モノレールとは設計思想や構造が異なることから、軌道桁寸法の比較ランキングにおいては参考表記として扱っている。 |
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| 採用路線 月尾銀河レール(韓国)-廃線 |
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| モノレール軌道タイプ別詳細(その他-ラルティーグ) | |
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軌道タイプ:Lartigue |
| 概要 ラルティーグ(Lartigue)式モノレールは、フランスの技術者シャルル・ラルティーグ(Charles Lartigue, 1834?1907)が19世紀後半に開発した独自のモノレール方式であり、現代で一般的にイメージされるALWEG式やSAFEGE式が登場するよりもはるか以前に普及した、歴史的に重要なシステムである。中央に一本のレールを設け、その両側に荷重を分散させるための「左右振り分け式」の車体構造を採用する点が特徴で、車両はレールの上部を走行しつつ、左右に張り出した車体でバランスを取る独特の方式となっていた。 ラルティーグ式モノレールの代表的な路線として最も知られているのが、アイルランドのリストウェル=バリバニオン鉄道(Listowel?Ballybunion Railway)である。同路線は1888年に開業し、旅客輸送のみならず貨物・牛の輸送・砂利運搬など、多岐にわたる用途で利用された。中央レールを挟んだ左右対称の構造は、荷重バランスを強く要求する特性を持つ一方、軽量であることから複雑な地形にも対応しやすく、当時としては先進性の高い交通システムとみなされていた。しかし、アイルランド内戦(1922?1923年)の混乱に巻き込まれ、施設の大半が損壊したことから1924年に運行を終了した。 同方式の採用例としては、アイルランドのリストウェル=バリバニオン鉄道(約14.4km、1888年開業)に加え、フランスのフュール=パニシエール鉄道(Feurs?Panissieres、約17km、1895年開業)がある。いずれも19世紀末に建設されたが、運用の難しさや鉄道技術の急速な進化により長期の普及には至らず、現代のモノレールシステムとは異なる歴史的な存在となっている。 ラルティーグ式モノレールは今日では実用路線こそ残っていないが、モノレール技術の初期発展における重要な一歩であり、世界のモノレール史において特筆される方式である。 |
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| 採用路線 Listowel-Ballybunion 14.4km(アイルランド:1888) Feurs-Panissieres 17km(フランス:1895年) ![]() |
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| モノレール軌道タイプ別詳細(懸垂式) | |||
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軌道タイプ:2150×2100mm SAFEGE 内筒部 1450mm×1475mm 開口部 880mm |
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| 概要 SAFEGE 式モノレールは、フランスのサフェージュ社が開発した懸垂式モノレール方式であり、日本では三菱重工業が導入・改良を行い「三菱?SAFEGE 式モノレール」として標準タイプに位置づけられている。軌道桁は幅2150mm・高さ2100mmの大型断面を持ち、その内部に設けられた内筒(1450mm×1475mm)に車両の走行輪・案内輪が収まる構造となっている。開口部は幅880mmで、点検・整備のためのスペースとしても活用される。 SAFEGE 式の大きな特徴は「箱桁内部を車両がぶら下がって走行する」という構造にあり、風雨の影響を受けにくく、横転の危険性が極めて低い高い安全性を実現している。軌道桁には外フランジタイプと内フランジタイプの2種類があり、現在多く採用されているのは、外側にフランジを持つ外フランジ型である。外フランジ型は構造強度が高く、長スパン化にも対応できるため、都市交通に適した方式として発展してきた。 日本国内での初導入は、名古屋市東山動植物園内に整備された園内モノレールであり、同線はSAFEGE 式の技術が日本で本格導入される端緒となった。その後、湘南モノレールが懸垂式として初の本格営業路線として開業し、その技術を大幅に発展させた千葉都市モノレールでは、現在でも世界最長の懸垂式モノレールとして SAFEGE 方式の安全性と運行信頼性が高く評価されている。 |
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| 採用路線 1.オレルアン試験線 2.東山動植物園 3.湘南モノレール 4.千葉都市モノレール |
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| SAFEGE式モノレールの外フランジ型と内フランジ型 SAFEGE 式モノレールの軌道桁には、外フランジ型と内フランジ型という二つの構造が存在する。両者はいずれも箱桁内部に車両を懸垂させて走行させるというSAFEGE方式の基本原理を共有しているが、桁の形状や荷重の支え方、適用される路線規模に明確な違いがある。 外フランジ型は、軌道桁の外側に張り出したフランジを持つ構造で、このフランジが車両の荷重を広く受け持つことで高い曲げ剛性と強度を確保している。そのため長スパン構造に適し、都市交通の本格路線に導入しやすいことから、現在のSAFEGE式では主流となっている形式である。湘南モノレールや千葉都市モノレールなど、日本の主要な懸垂式路線の多くが外フランジ型を採用しており、保守性にも優れ、都市部での運用に向いたバランスの良い方式といえる。
一方、内フランジ型は軌道桁の内側にフランジを設ける構造で、外観が滑らかでコンパクトな箱桁となる点が特徴である。このため景観への配慮が必要な環境に適しているが、構造強度は外フランジ型に比べて低く、長大スパンや重量の大きい車両には向かない。そのため主に初期の実験線や小規模路線で採用され、代表例としてフランスのオレルアン試験線が挙げられる。しかし保守性は外フランジ型よりも劣り、現代では採用例が限られている。 |
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