1.フィンガープレートの構成
下にフィンガープレートの概略図を示します。
フィンガープレートの概略図 |
私達が普段目にしているのは図中に示すフェースプレートと呼ばれる部位です。
フィンガープレートは一般的に、フェースプレートを含むフェースプレート以外の部位(台座(ベースプレート)や、それらを支える定着棒および定着板)
をひっくるめた冶具全体の事を指します。
これらの部位は、通常フェースプレートの内側に埋め込んである状態ですので、普段お目にかかる事はありません。
よって、フェースプレートについてフィンガープレートと呼称する事が関係者外では一般的となっています。
そもそもフィンガープレートとは、何の目的で設置されているのでしょうか。
当サイトに足(手)を運んで下さった方々は、それ相当に熟知されている方が多いと察します。
が、そうでらっしゃらない方も閲覧されているという前提で概略説明を以下に示します。
2.フィンガープレートとは
モノレールの軌道桁の材質は、基本的にPC軌道桁(プレストレストコンクリート)および鋼製軌道桁で成り立っています。
鋼軌道桁については、鋼材を用いているため、軌道桁自体に伸縮が起こる事は想像が付きます。
PC軌道桁およびその関連設備についても、結果的に伸縮と同じ物理現象が発生します。
簡単に表記すると以下項目がそれらに該当します。
・乾燥収縮
・コンクリートのクリープ
・気温変化による収縮
・活荷重による関連設備の変形
上記作用によって、軌道桁およびその関連施設は大なり小なり伸縮を繰り返しています。
この場合の伸縮とはつまり、軌道桁長の長さが変化しているという事を示しています。
軌道桁は支承と呼ばれる冶具で支えられていますが、この支承も実は長さ方向に可動する仕組みをとっています。
(一般的に片方の支承が可動式、もう片方の支承が固定式で構成されており、軌道桁の固定方向への伸縮を許容している。)
このため、軌道桁間には遊間と呼ばれる隙間が設けられています。
(この遊間は伸縮の他にも、耐震性向上も兼ねています。)
ただし、この遊間に接続冶具を設けなければ、段差による振動(騒音)や乗客への乗り心地の悪化が生じてしまいます。
このため、伸縮継ぎ手(フィンガープレート)による、軌道桁間の接続を行い、列車をスムーズに通過させる様工夫されています。
3.アンチフィンガープレート
モノレールの軌道桁の接続部にフィンガープレートが用いられている事は上記項目でご説明いたしました。
近年モノレール各社において採用されているフィンガープレートの中には、実はフィンガーを有していないフィンガープレートも存在しています。
アンチフィンガープレート=平板です。
特に分岐器部においては、可動側分岐器の末端には上下に稼動するフィンガープレートが設置されていました。
近年ではこの可動式フィンガーの故障などのリスクを鑑みて、可動式フィンガーに変わり平板が用いられる事が多くなりました。
当頁ではフィンガープレートの写真集と題してはいるものの、伸縮動作を除く冶具としての役割はフィンガープレートと同様の物であるととらえ、合わせて写真集内で紹介させていただく事としました。
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