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モノレール国内編 多摩モノレール延伸
多摩モノレール所沢延伸ルートについて


Tama monorail/Japan

多摩都市モノレール 所沢 小手指延伸

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多摩モノレールでは現在、多摩センター~上北台間約16kmで営業を行っています。もともと、多摩モノレールの路線構想については、全体構想約93kmに及ぶもので、上北台~箱根ヶ崎間、多摩センター~町田間、多摩センター~八王子間などの複数の延伸計画があります。このうち、上北台~箱根ヶ崎間7.2kmの延伸計画については、2021年以降事業化が事実上決定し、今現在設計などを含む整備計画が進んでいます。

 
今回はこれら構想ルートにこそ入っていないものの、ネット上で話題のつきないいわゆる多摩モノレール所沢・小手指駅までの延伸構想の現状について触れます。なお、所沢延伸計画というものは 現状公式には存在しません。あくまで現地の現状を紹介する事を目的としたものとなります。  

多摩モノレールでは現在、北の上北台から箱根ヶ崎、南側の多摩センターから町田、八王子に至る3つの延伸検討ルートが存在します。

1981年に示された 多摩都市モノレール等基本計画調査報告により、立川基地跡地、多摩ニュータウン、八王子、秋留台等を結ぶ、全長約93kmの環状路線として検討されていました。

箱根ヶ崎や町田、八王子までの延伸ルートも、基本的にはこの構想上に示された路線の一つとなっています。

このうち、南側の多摩センターから町田間における延伸ルートについては、2021年末に いよいよルート決定が成されました。こちらは都市計画決定や用地取得等の課題こそ残っているものの、これまでに比べると随分実現に近づきました。2月に実施された町田市長選では、モノレール延伸を推進する石阪市長が当選。6月議会では、多摩都市モノレール延伸を推進する事業の費用を、補正予算に盛り込む旨 報道陣向けにコメントしており、さらにモノレール延伸に向け加速していきそうです。
多摩モノレール構想ルート
多摩都市モノレール等基本計画調査報告に示された路線構想図
今回のテーマである、所沢方向にベクトルが近いのが、北の上北台から箱根ヶ崎間における7.2kmの延伸ルートで、この計画については 東京都が2020年度予算案で事業着手へ向けた予算を計上。2021年度には、ついに基本設計に着手、さらに東京都では新年度予算案に この関連項目が盛り込むなど いよいよ整備開始目前といったところまできています。

開業は2032年が想定されていますが、多少の遅れを考慮しても2030年代前半には開業できるのではないかと考えられます。

多摩モノレールの上北台駅から、所沢方面への延伸については、現状公式には計画自体存在しない事を説明しましたが、同延伸推進協議会は既に設置されています。

同協議会では 2001年に多摩モノレール所沢市内への延伸に関する誘致活動を開始しており、2002年には 環境に優しいモノレールを 所沢市に誘致する会 を設立。上北台駅から所沢市小手指町の西武小手指駅へ至る約7kmの延伸を求め、署名活動などを行っています。
多摩モノレール箱根ヶ崎延伸ルート
今回、ここから先、西武線・小手指駅までの想定ルートを進んでいきたいと思いますが、まずは この表示ルートの前提条件を決めます。

基本的には現状の配置道路を優先し、かつ直線的ルートを優先し進みます。一部既存道路から外れる区間があります。これについては、既に都市計画道路の設定がある部分について、これを優先し軌道ルートを描いているため、という事になります。
多摩モノレール所沢延伸ルート上に位置する西部ドーム
構想ルート上に位置する西武ドーム
ルートを進んでいく前に、まずは上北台駅の軌道末端部について触れておきます。

上北台駅の軌道末端部については、既に軌道上の末端部からクロソイドを開始しており、さらに都市計画上も 箱根ヶ崎方向に向け 軌道ルートが左手にまがっています。都市計画については あくまでも紙面上の設計図上に存在している状況なので、現状目視できる状態になく、なかなか伝わりにくいかもしれません。

つまり、ここに新たに分岐器を設置する事は、物理的には不可能となっています。
多摩モノレール上北台駅の軌道末端部
多摩モノレール上北台駅の軌道末端部
(c)MJWS 田村拓丸
では、所沢 小手指方向への支線を配置し、分岐させるためには という事になるわけですが、これを実行するためには、上北台駅の手前に配置される 上下線入替用の 方渡り分岐器が2連で配置されるこの位置、ではなく、  多摩モノレール上北台駅の分岐器
上北台駅手前に位置する上下線入替用分岐器
(c)MJWS 田村拓丸
更に手前となる桜街道駅近くに新たに2差分岐を2機 最低でも配置しなくてはなりません。

これは、箱根ヶ崎までのルートを含む、現状の本線と仮称 所沢線を二分するための分岐器です。
埼玉方向に進む多摩モノレール延伸ルート
モノレールを本線と支線とに分岐する という構造は、国内では 大阪モノレールの本線と 彩都線の分岐構造がこれにあたります。つまり、この程度の構造物を新たに配置する必要があると言えるわけです。

 大阪モノレールの分岐器
大阪モノレール本線と彩都線の分岐
(c)MJWS 田村拓丸
駅についても、現状の2面2線から、2面4線へ変更というわけにはいきませんので、現状の上北台駅とは別建てで 2面2線 所沢線用の上北台駅を配置する必要があります。

付け加えると、駅の位置を 現状の上北台駅と合わせようとすると、必然的に現状の上北台駅の上部に もう一つ上北台駅を作る格好となることから、道路を含め、最低でも4階層構造の駅舎へ変更する必要があります。
 埼玉延伸時の上北台駅の構造予想図
嘘みたいな画像ではあるが、駅舎を二段配置とする場合、図の様な構想となる事が予想される。
小手指延伸時における多摩モノレール上北台駅
所沢 小手指ルートを配置する場合の、上北台駅前後の線形
もっとも、この構造は 現状延伸が決まっている箱根ヶ崎までの延伸ルートを設置するうえで、更に所沢まで延伸する場合 そして支線を設置するためには という前提で紹介しています。箱根ヶ崎ではなく 所沢までの延伸のみが決定されていたとしたら、この状況とはなっていないと思い済ますが、今回は参考として示しました。 多摩モノレール上北台駅空撮
延伸構想ルートは、既存終点の上北台駅で、箱根ヶ崎ルートと所沢ルートに二分する必要がある。
といったところで、所沢ルートに沿って進んでいく事としましょう。

所沢ルートとして延伸する場合、上北台駅から 直後に位置する 立川3・3・30号線を伝って、多摩湖を目指し進んでいく線形となります。立川3・3・30号線については、多摩モノレールルート上においては22m道路として配置されていましたが、該当区間については16m道路へと、規模が小さいものとなっています。

蔵敷公民館北交差点では、今現在どんつきとなっていますが、この先にも未完成ながら都市計画道路が続いています。現在は迂回する線形で、村山上貯水池の堤体までの上っていく道路が続いています。道路幅員はここから、幅員12m道路へとさらに規模を縮小。ここから都市計画上は調整区域へはいり、村山上貯水池の堤体直後まで続きます。
多摩湖までつづく多摩モノレール埼玉延伸ルート
上北台駅より西武ドーム方向へ伸びる立川3・3・30号の様子
  現在、該当区域では道路の工事などは進んでいませんが、交通量自体は道路規模感に対し、そこそこある印象でした。

埼玉県関係組織間として協議を進める多摩モノレール埼玉 所沢延伸構想ルートにおいても、上北台駅より分岐し、この村山貯水池を超え、西武ドーム、そして小手指駅付近までがベースとして考えられています。

想定範囲では、ここからさらにルートを右折させる案も考えられているようですが、今回については正統派ルートと考えられる、小手指までの直線ルートを進んでいきたいと思います。

埼玉 所沢延伸に関して 主要地点のうちの一つと位置付けられているが、西武球場 および西武園ゆうえんちを配するこの区域。

西武球場の観客動員数は 年間あたり約180万人、西武ゆうえんちの入場者数は 年間あたり約49万人となっています。球場 スタジアム等のイベント施設については、時期時期による一過性のなる乗降客数となりがちではあるものの、相応の人員を有するポイントと位置付けられそうです。

多摩モノレール所沢延伸ルート上に位置する多摩湖
村山貯水池 (c)MJWS 田村拓丸 
さてここから、ルートは西部球場脇を出発し、小手指駅を目指し進んでいきましょう。

ここから先は、冒頭説明した直線的距離で進んでいく事としますので、参考として御覧いただければ幸いです。

同線の延長については 現状構想ルートも決定が成されていない状況で、関係各所間でも 箱根ヶ崎ルートの次段となる事が 基本的前提として確認されています。

ただし、上北台駅からの分岐が前提として据え置かれている事から、このルートを延伸する場合、冒頭紹介した、上北台駅の大幅な改修は必須となりそうです。
多摩モノレール所沢延伸ルート上に位置するメットライフドーム
上北台駅以降の所沢延伸ルート(想定) 
次の段階としては、まずは採算性等を含め おおかたの構想ルートを示す事が一つのテーマとなっています。

公共交通の利便性向上検討会議の報告書を引用すると、埼玉県内側は宅地等が少なく、どの方向に延伸してもルートの障害となる建物が少ないという強みがある一方、答申に位置付けがないという弱みがある事西武球場、西武園ゆうえんちなどの観光・集客施設や 多摩湖の観光資源など需要創出につながるポテンシャルを有しているという強みがある一方、国立社会保障・人口問題研究所の推計では所沢市で2035年人口が減少するという弱みがあるという事も示されています。

また外部環境の主なものとして、延伸しても輸送量にはまだ余裕があるという強みがある一方、答申路線の上北台から箱根ヶ崎の整備が先行することや、県内への延伸ルートによっては 水源地である多摩湖を通過するために 関係者との調整が必要となるという弱みがある という点も指摘されています。
多摩モノレール埼玉所沢延伸ルート外観
所沢ルートの基本線形
ここまで埼玉 所沢 構想ルートに沿って進んでいますが、このルートの延伸の実行可否については 今段階ではハードルが高いという状況に変わりはありません。

多摩都市モノレールについては 第三セクターとして 実質的に東京都が運営している状況に近く、埼玉県内にルートを伸ばすとなると、出資元が2区域にまたがる事を意味し、採算性うんぬん以前の問題に波及していきます。

つまり、多摩モノレールで構想される他の延伸構想ルートよりは ハードルとしてはかなり高めと言えそうです。
埼玉と東京都の位置関係
多摩モノレールを所沢市、小手指まで延伸しようとすると、多摩モノレール出資元の東京都範囲から埼玉県範囲にかかる事を意味する。
さて、そうこうしていると、ルートはいよいよ小手指駅付近に到達しました。小手指駅は 西武鉄道 池袋線の駅です。駅の北側には 同線の小手指車両基地があります。よって、この小手指駅を起点・終点とする列車も多く設定されているようです。

現状、多摩モノレール埼玉 所沢延伸構想においては 埼玉側で考えられているメインのルートについては、ここまで進んできた直線的ルートが本命となるものと考えられますが、今後、採算性や街へ与える影響を鑑みつつ、複数のルートが検討されていくそうです。

今後の関係各所の動向に注視しつつ、当編集室としても、状況の把握に努めていきたいと思います。
多摩モノレール所沢延伸ルート末端部に位置する小手指駅 





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