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モノレール 海外編 KLモノレール
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東南アジアのモノレール

KLモノレール
-KL Monorail-

モノレール車両スコミスートラ
社名 ラピッドKL(運営)
路線名 KLモノレール
開業年月日 2003年8月31日
営業距離 8.6km(5.3マイル)
駅数
複・単線 複線
モノレール方式 跨座式
モノレールシステム:跨座式 Scomi(軌道寸法:800mm×1400mm)
モノレールの軌道桁一覧
図.モノレールの規格一覧
左段:海外マニュファクチャラー、右段:日本マニュファクチャラー

Scomi SUTRA 新型車両(4両編成)
(c)DarwelShots-Adobestock.
KLモノレールの路線図

KL Monorail 路線図 
スコミスートラ第一世代
Scomi SUTRA(2両編成)
(c)TMAX-AdobeStock
 
 
1.KLモノレール

KLモノレールは、マレーシアのクアラルンプールを走る交通システムです。
総工費はMYR11.8億をかけて、8.6km(5mil)、KLセントラル~ティティワンサ間11駅が2003年8月31日に開業しました。
建設は日立製作所によって開始されたものの、1997年のモノレール導入を進めていましたが、1997年アジア金融危機が原因で同年12月に工事は中断する事となりました。1998年7月に工事を再開するものの、コスト削減の観点から、建設は日立製作所によるものではなくマレーシア国内企業によって進められる事となりました。

 マレーシア発の国産モノレール  市街地を行くKLモノレール SUTRA

1.Scomi SUTRA

車両製造においてはMTrans(後にScomiとなる)が引き継ぎ、独自に車両製造を行いました。
MTrans社内(現スコミレール工場内)の試験線で開発が進められたマレーシア初のモノレール車両は「SUTRA」と名付けられ、2両編成固定型として誕生しました。構造はミドルタイプのALWEG式モノレール(シアトル、名鉄モンキーパークモノレール線)に近く、室内へのホイールハウスの出っ張り等、随所にオリジナルの色が残ります。2両編成固定型車両における乗車定員はは158人(最大213人)となっています。KL Monorailの開業後、Scomi SUTRAは海外展開における主力製品として、第二世代車両(Scomi SUTRA Gen 2.0、Gen 2.1)、第三世代車両(Scomi SUTRA Gen 3.0)へと進化を遂げていく事となります。

 KLmonorail SUTRA
Scomi SUTRA Gen 1.0
 KLモノレール
Scomi SUTRA Gen 1.0
スコミスートラ第2世代
Scomi SUTRA Gen 2.1
ScomiSUTRA Gen2.1
Scomi SUTRA Gen 2.1
Scomi Monorail Gen2.1
Scomi SUTRA Gen 2.1

Scomi SUTRA Gen 2.1

2. 4両編成化

2014年12月、ScomiはSUTRA4両編成車両の導入を開始。2015年度末には全編成を4両編成車両へ置き換え、2両編成固定型は廃止となります。
次世代車SUTRAでは、新たに車椅子およびベビーカースペースを設けるほか、安全対策としてテレビカメラを設置しています。
収容定員としては、従来の2両編成固定型213人から430人へと増員されています。

4両編成化におけるインフラの整備については、初期建設時点で4両編成化を見越した(拡張性を持たせた)設計となっていました。
インフラ工事では、ホームおよび駅舎の延長に加え、プラットフォームの自動ゲートシステムPAGS(ホームドアー)を導入し、安全性の向上が図られています。

また、同時に駅舎のアップグレードも実施されました。
KLモノレールの主要駅の一つであるブキッ・ビンタン駅では、クアラルンプールのショッピングセンターやエンターテイメント施設への接続駅として機能している事から慢性的な混雑が発生していました。
新たにスンゲイワンプラザショッピングモールへの導線を改良し、直接接続する通用口を設置し混雑解消を図っています。
他の例では、KLセントラル駅が挙げられます。
当駅はセントラルステーションとの接続駅となっており、多数の乗降客があります。
しかし、セントラルステーションとモノレール駅間は大通りが隔てており、状況客はこの大通りを通過する必要がありました。
対策として、今回の改修工事によって両駅を繋ぐペデストリアンデッキが設置され、乗降客のスムースな移動を実現しています。

 ScomiSUTRA  

3.Scomi SUTRAの海外展開

KLモノレールでシステムとしては一定の成功を収めたScomi(MTrans)製ALWEG式モノレール。今日では海外展開も積極的に実施されており、マレーシア産モノレールが世界に普及しつつあります。
特にブラジルはサンパウロメトロ、マナウスでの受注、インド、ムンバイでの受注獲得等、新興マニュファクチャラーとは思えない急成長を見せています。インド、ムンバイのモノレールでは実際に開業を迎える事となり、2010年1月2日にはScomi SUTRA初の海外用車両が出荷されました。この時、Scomi SUTRAとしては初となる4両編成仕様のモノレールを開発。Munbai向け第二世代車両(Gen 2)と称されたこのSUTRAは、以後4両編成6ユニットがインド、ムンバイモノレールにてラインナップされる事となりました。インド、ムンバイモノレールは更なる延伸(第2フェーズ)が予定されており、延伸部の開業時には更に10編成が投入される予定となっています。インド、ムンバイ向けSUTRAは、黒と白のストライプをベースラインにもち、王室ピンク、アップルグリーン、およびアイスブルーに塗り分けられた色とりどりの車両が並びます。各モノレール車両の乗車定員は568名、一部に妊娠中の女性、高齢者および身体に障害のある乗客用のスペースが確保されています。モノレール車両は全長44.8メートル、質量およそ15トンとなりました。また、すべての車両にエアコンが装備されるほか、CCTVカメラが設置されました。安全装備としては、パンク時にも移動を続行できる「ランフラット」機能などが追加されています。

上述した様に、ScomiSUTRAはその登場以来、第二世代、第三世代車両へと開発が進められており、製品として最新型となるブラジル・São Paulo metro17号線向けGen 2.1までが製品としてラインナップされています。KLモノレール開業時に2両1ユニットとして開発されたモノレールシステムも、このGen2.1では5または6両編成での運用が可能となっており、小量から中量輸送機関向け軌道系交通システムとして展開が出来る様になりました。参考データとして、Scomi SUTRA・Gen 1~Gen 2.1までの諸元および比較一覧を以下に示してございます。

 
Sucomi SUTRA モノレールシステム一覧    
システム名称 Gen 1
(MTrans)
Mumbai
Gen 2
Gen 2.1 Brazil
Gen 2.1
採用路線
(計画含む)
・KL ・Mumbai ・KL ・Sao Paulo
・Manaus
採用路線
(初期営業年)
2002 2010 2013 -
編成辺り車両数 2 4 4 5または6
乗客数/片道1時間あたり
(PPHPD)
3200 7000 6400 36000
乗客数/1両あたり
(pax/car)
107 140 122 150
最高速度
(km/hr)
55 80 55 80
材質 鉄複合材 アルミ複合材 アルミ複合材 アルミ複合材
車軸台車あたり重量
(ton)
10 13 14 14
ブレーキ装置 ドラム&
電気式
ディスク&
電気式
ディスク&
電気式
ディスク&
電気式
運転方式 手動操作 手動操作 手動操作 自動運転
運転間隔
(min)
4 3.5 4 1.5
信号保安システム 固定閉塞 固定閉塞 固定閉塞 移動閉塞
自動列車保安装置 ATP ATP ATP
ETCS L2
Inductive
loop
電源 750VDC 750VDC 750VDC 750VDC
 
(c)Tan Kian Khoon- stock.adobe.com

「Scomi SUTRA Gen 1」
Scomi SUTRAの第一世代車両。もっとも、SUTRA Gen 1車両はScomi Railとなる以前のMTransによって開発されたシステムである事から、Gen 1ではなくSUTRA/MTransと称される場合もある。
ムンバイモノレール
(c)stock.adobe.com

「Scomi SUTRA Gen 2」
Scomi SUTRAの第二世代車両。Scomi SUTRA海外展開の事実上の初段、ムンバイモノレール(インド)で採用された。
 ScomiSUTRA Gen2.1
(c)Cooler8- shutterstock.com

「Scomi SUTRA Gen 2.1」
Scomi SUTRAの第二世代車両。KLモノレールで採用。
 
(c)Scomi Group Bhd

「Scomi SUTRA Gen 2.1」
ブラジル・サンパウロメトロ17号線向け車両として開発された最新機種。従来の4両編成から、5または6両編成による運用が可能とされている。Scomiでは収益の2割近くを、これらモノレールシステムの開発に充当しており、現在最新型となるGen3.0の開発が進められている。

モノレール・ジャパン編集室(MJWS) 田村拓丸 Editor: Takumaru Tamura(文章 田村拓丸  MJWS編集室)
MJWS Representative / Editorial Desk
Based on information exchange with monorail operating companies, he gives community-oriented lectures. He engages in a wide range of activities aimed at maintaining and developing monorail infrastructure, including writing and editing monorail-related articles, designing layouts and illustrations, and more.
 
 
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KL MONORAIL
アルバム:クアラルンプールモノレール
 

KLモノレール 駅舎 KLMonorail

KLモノレールの改札 KLモノレールの側面

到着するScomiSUTRA スコミ製モノレール車両

スコミ製モノレール スコミモノレールの運転席

マレーシア初のモノレール 駅を発車するScomi SUTRA

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編集校閲 田村拓丸(MJWS)