モノレールジャパンインデックスページ※新しいウィンドウが開きます。       熱海モノレールPC用

  Monorails of Japan website > モノレール国内編 >
日本のモノレール 熱海モノレール


熱海モノレール-Atami Monorail-
【幻の始発駅 熱海第一ビルを行く。】
前編(1/2)
実際の駅配置を推定する。
(mjws.org参考資料)

1.熱海モノレール熱海駅の実際の配置を検証する。

熱海第一ビル地下に眠るとされる熱海モノレール社の熱海駅。
実際に日本高架電鉄の兄弟会社として熱海モノレール社が発足し、同線の免許を取得。
第一次免許取得後に実施された駅位置の配置変更時には、新たに熱海駅前にモノレール駅を抱き合わせた高層ビルが配置された。
このビルこそが「熱海第一ビル」。
熱海市主導のもと建設された幻の駅ビルは、現在もそこに建っている。

熱海駅前にそびえる熱海第一ビル

今回は、熱海第一ビルの構造配置をベースに、更に文献の情報を重ねつつ、熱海モノレール熱海駅の実際の配置を検証した。
【熱海第一ビル場所打ち杭配置図(推定)】

黄色で示す小枠が支持層該当の杭位置と推定する箇所
灰色で示す小枠が支持層未到達杭位置と推定する箇所
緑で示す枠が、上部構造物の配置
  上図【熱海第一ビル場所打ち杭配置図(推定)】に地下3階フロアを重ね合わせ、上部構造物を支える杭の配置とモノレール駅配置との位置関係を検証する。
上部構造物、杭および地下3階フロア合成図を下図に示した。
【熱海第一ビル場所打ち杭配置図(推定)】
(上部構造物、杭、地下3階フロア合成図)

黄色で示す小枠が支持層該当の杭位置と推定する箇所
灰色で示す小枠が支持層未到達杭位置と推定する箇所
緑で示す枠が、上部構造物の配置

杭は、およそ上部構造物3棟を支える形で、棟それぞれで支持層場所打ち杭が16本、その他8本で構成されている。
地下3階フロアへは、支持層場所打ち杭16本が到達していると定義し、熱海モノレール熱海駅の配置を検証した。
モノレールの構造上、プラットホームおよび軌道支持フロアは高低差が存在する事となる。
杭配置は、プラットホーム部に4本、軌道支持フロアに4本配置されていると推定される。
 
熱海駅方より見た熱海駅外観
「第一ビル」と表記された区域、つまり支柱間地下4階層に軌道承階が位置すると考えられる。

左写真の反対(海)側の様子
正面二本の支柱間の地下4階が軌道承階、右手地下3階がホーム階と想定される。つまり、熱海モノレールが完成していたら、この真下をモノレールが通過していたという事になる。

上部配置に、実際のモノレールカーをスケーリングした図を付加し、そもそもモノレールカーが寸法上収まる設計であったのか確認した。

2.熱海第一ビルは、モノレール1編成が綺麗に収まるサイズだった?

【熱海第一ビル・熱海モノレール熱海駅構内配置図(推定)】


(黄色で示す小枠が支持層該当の杭位置と推定する箇所)
ビル図面と構造物外枠より寸法を算出し、スケーリングしたモノレール車両を配置した。
モノレール車両は、熱海モノレールを主導した東京モノレール社の100形シリーズをベースとして図中に重ね書きした。

熱海モノレールでは、当時の名鉄犬山線車両と同様に3両編成での運行をベースとしていた。
このため、最大寸法に値する東京モノレール社100形-200形-100形の3両固定編成をスケーリングのベースとした。


犬山モノレールMRM型
サイズ感は程同様のイメージとなった事が予想される。

熱海モノレールの前例と位置づけられる東京モノレールでは、当時既に地下駅が採用されていたた。地下駅自体は珍しい物ではなかった。

上図からもわかる通り、熱海第一ビルの杭位置および建家配置は当時のモノレールカー3両編成が綺麗に収まる様に配置されている事がわかる。つまり、熱海第一ビル設計の段階で、モノレール駅設置を考慮していた可能性が高いと言える。

【結論】
熱海第一ビルはモノレールカーが寸法上収まる設計であった。

  【熱海モノレール熱海駅部分拡大図・構内配置(推定)】

左図通りの杭配置では、プラットホーム上に4本の支柱が連立してしまう事となる。ホーム上において車両乗降部側に支柱が配置されている事例・および既存駅はあまり見かけない。しかしながら、地下駅であるという事と時代背景を鑑みた場合、そう珍しい構造ではなかったと考えられる。

下に姫路市営モノレール大将軍駅のホームの様子を写真で示す。

ホームの中央に支柱が連立し、乗降客の動線を妨害する様な配置になっている。熱海モノレール熱海駅は、姫路モノレール大将軍駅とは異なり地下駅として計画されていた。たしかに、両駅は配置される構造およびその背景が全く異なるようにも思えるが、ビル構造物およびその杭配置を避けながら駅が設置されたという意味では非常に似通った駅構造だったと言える。


現在運営されている東京モノレール社羽田空港第一ビル駅においても、ホーム上に支柱が配置された構造となっている。

さて、当ビルが地下駅舎の設置を前提にした作りである事はよくわかりました。
さらに検証を進めるため、実際の駅舎位置と既存ビル内における支柱位置との位置関係を確認します。


上記に示した図面を参考に、実際のビル内における支柱位置へ向かいました。
追う順番としては、モノレール視点において、駅構内入口側となる背面部から歩きます。

一旦ビル背面部に移動し、建物構造の全体感を確認。

ビルの反対側から足を進めると、先には熱海の海が広がる。
モノレールは地下空間を抜け、画像中央奥手より海岸線に出たと考えられる。 
 
熱海第一ビルの反対側


まずは上図の二本の支柱位置を確認。
それぞれは以下写真の支柱に該当。

左手支柱

モノレールの軌道承階部に突き刺さっていると推定される支柱。

右手支柱

この支柱はプラットホーム上に配置されている事が推定されるもの。
つまり、地下にプラットフォームが未だ存在しているとすれば、この幻の地下空間をじっと見つめ続ける歴史の生き証人であるとも言える。

海側二本の次は、駅舎中間に位置する二本×2連の支柱部を見ていきます。
図で示すと以下の赤枠の部分に該当。

該当部は 現在人道として使用されており、以下画像の様な空間となっています。
 
この真下にモノレール軌道承階が位置すると考えられる。
 
ホーム上(地下3階)に到達すると考えられる支柱構造物。
写真の左手は、地下駐車場へのスロープ、右手は駐車場として使用されているようです。
ちなみに、写真奥手が熱海駅側という事になります。

既にお気づきかと思いますが、モノレール地下軌道承階が位置すると考えられるのが、正に左写真位置の真下。
右手の支柱部付近〜駐車場位置の真下が、ホームが位置すると考えられる箇所です。ちなみに、この真下には実際のところもう1フロア設けられている事から、直下が直ぐに駅舎となっているわけではありません。

さて写真正面の入口よりさらに商業フロア内へ入っていきます。
図で示すと以下の部分に該当します。


 

熱海駅側地下通路入口の様子。
写真正面右手が上図左手の支柱。

海側を振り返ると画像の様な光景が広がります。
建物自体が若干の傾斜地に設置されているため構造上当フロアは地下1階に該当します。
 
商業フロアより先ほどの海側支柱が設置される人道部を撮影。

地上部における熱海駅側同位置の様子(駅側より撮影)。

さて、ここまで駅舎構造を形成する支柱群の配置を見てきました。
熱海第一ビルと熱海モノレール始発駅として見た場合の熱海駅においては、長く語られる謎が一つ残っています。それが、駅舎としての正入口の存在。実は現行のビル配置において、将来的にモノレール駅舎の正面入口となりそうな個所が存在しないのです。


たびたびクローズアップされるこの木扉も駅舎とは関係ない。

地下に向かう階段
写真は地下2階駐車場への出入り口。
モノレール駅舎空間に続いていそうな扉は多くあるものの、いずれも将来的な正面入り口として転用は難しい。

これらは謎として扱われ、熱海モノレールを神秘的な存在とした一つの要因であると思います。
後編ではこの「幻の熱海駅正面入り口」を探ります。

 
スポンサー リンク 
 
 

熱海モノレール

モノレール 国内編へ

サイトトップへ戻る


モノレールの未成線 熱海モノレールPC用