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熱海モノレール
-Atami Monorail-
Straddle-beam monorail (ALWEG) system , Hitach


開業する事のなかった幻のモノレール、それが熱海モノレール

社名  熱海モノレール(仮称)
開業年月日 未成線-
昭和39年〜(1964年〜)熱海モノレール設計
/(日立モノレールコンサルタント梶i現:トーニチコンサルタント))
昭和40年(1965年)熱海モノレール 建設中止
営業距離  1.8km
駅数  4駅
複・単線  複線(熱海駅は単線)
モノレール方式  日立アルウェーグ式
車両 3連接車両
 
熱海モノレールとは、熱海駅(熱海駅前第1ビル地下3階)のホームからアタミロープウェイまでを結ぶモノレールの建設計画路線です。地方鉄道法に基づいて跨座式鉄道として敷設免許を申請した鉄道路線でしたが、今日まで完成を見ることはありませんでした。

始発駅と考えられていた「熱海第一ビル」

モノレールルートは海岸線を進み熱海ロープウェイ付近を目指した。
熱海の地図 google
 熱海駅〜アタミロープウェイ周辺写真 /Google earth 2015
 

1962年(昭和37年)、国内では「夢の超特急」新幹線(東海道)が誕生しました。
新幹線の開業によって東京〜熱海間は50分で結ばれる事となり、熱海では観光客の増加が見込まれました。

1962年(昭和37年)4月17日、東邦観光開発(現前田道路系列)が熱海駅-熱海港間の跨座式鉄道(東芝式単線)による地方鉄道敷設免許を申請します。
同時期に日本高架電鉄(現在の東京モノレール)などが出資する熱海モノレールも、ほぼ同ルートの跨座式鉄道(日立アルウェーグ式単線並列)による地方鉄道敷設免許を申請しました。

1963年(昭和38年)、運輸省(現在の国土交通省)は東邦観光開発の申請は輸送力不足や会社の資金力不足などの問題で却下されましたが、熱海モノレール(日立)に跨座式鉄道の敷設を免許しました。
 熱海モノレールが採用するはずだった日立製作所製モノレール  犬山モノレール
写真 熱海モノレール計画以前に、日立製作所はラインパークモノレール線を開業させている。
ラインパークモノレール線(名古屋鉄道)[1962年(S37年)3月21日開業]
 

熱海モノレール計画概要
営業区間 2.07km。
方式 日立アルウェーグ式モノレール
駅数 4(熱海駅前 - 海上ホテル前(海上) - 糸川(海上) - ロープウェイ前)
車両 日立アルウェーグ式3両固定編成定員(195名)
   最高速度:55km/h(表定速度:30km/h)


熱海駅前(地下駅)を起点に、トンネル区間を経由後、地上に出て熱海湾沿いを走行し、終点のアタミロープウェイ乗り場までを結ぶ計画でした。
途中駅の2か所は、共に海上への建設が予定されていました。
設計は日立モノレールコンサルタント梶i現在のトーニチコンサルタント)が受注。

1965年(昭和40年)に熱海モノレールは駅の位置や駅の名称に関して起業目論見書記載事項の変更を申請しました。
またルート変更に伴い、営業距離を2.07kmから1.84kmに変更しています。

 
モノレール熱海駅直上空間の現在。
乗客用の正エントランスはついに設けられず、業務通路以外確認する術がない。
 
熱海駅より地下空間を経由した後、モノレールルートは正面右手より海岸線(地上)に出る。以後海岸線を進む。

熱海モノレール計画概要(変更後)
営業区間 1.84km。
方式 日立アルウェーグ式モノレール
駅数 4(モノレール熱海 - 銀座 - 公園前 - 熱海港)
車両 日立アルウェーグ式3両固定編成定員(195名)
   最高速度:55km/h(表定速度:30km/h)

この年、熱海モノレールは正式な建設中止を余儀なくされ、設計業務も同様に中止。

その後、1967年(昭和42年)3月31日 モノレール駅を含む地下3階、地上9階の高層ビルとして熱海第一ビルが完成します。
熱海第一ビル 今も地下にホームが眠る
 熱海第一ビルとその周辺写真 /Google earth 2015
 中央の建物が「熱海第一ビル」
 
熱海全景
 熱海駅および熱海第一ビル周辺写真 /Google earth 2015
 

モノレール建設で完成したのは第一ビルの地下駅のみに留まり、その後進展しませんでした。

原因および理由として、
「トンネル施工時、周辺の地質が複雑である事から難工事が予想されること」
「路線建設予定地だった海上部分における波が、年間を通じうねりが高く、作業日数の制約を受けること」
「トンネル工事によってトンネル建設ルート上の温泉源や厚生省(現在の厚生労働省)が所有する水源に悪影響が及ぶこと」
「熱海モノレールの株主である東京モノレールが開業後の経営悪化により資金調達が難しくなった」
等が挙げられます。

原因の一つである「トンネル部の地質が複雑」という問題は、「熱海」とは切っても切れない理由があります。
そもそも、熱い海と書いて「あたみ」と読みますが、そう呼ばれる様になった理由と実は関係が深いのです。

富士火山帯に属する熱海は、もともと火山活動の積み重ねによって形成された地域です。
市内では、火山活動によって火口から流出した溶岩(安山岩、玄武岩および凝灰岩)の跡を確認することができます。

周辺各地に見られる堆積層は、これらの流出物が水中で堆積した地層であることから、噴火活動が海底で行われたことを示しています。

今からおよそ2000万年前ほど前、第三中世期の前期では、この火山活動が活発に行われ、各種の噴出物がこの周辺に堆積しました。
その後、約1000年前、火山地帯ではつきものである温泉が湧き上がり、周辺の海水は熱湯となりました。
こうしてこの周辺は「あつうみが崎」と呼ばれ、その後「あたみ」と称されるようになります。
上述した理由から、この地域の地層は多種溶岩の堆積によって複雑な地層となり、更に火山灰による粘土質特有の湧水による難工事が予想されました。

  以後、熱海モノレールは建設に着手されず、モノレール建設計画は立ち消えてしまいました。
結果として、現在でも熱海の地下3階にはモノレールのプラットホームが眠っており、永遠にモノレールの発車しない始発駅として存在し続けています。
 モノレールのホームが眠る熱海第一ビル
熱海第一ビルに限定した記事は以下を参照下さい。


 名鉄モンキーパークモノレール線、よみうりランドモノレール東京モノレールに続き、日本で4路線目の日立アルウェーグ式モノレールとなる可能性があった熱海モノレールですが、その路線が開業する事はありませんでした。
一端に東京モノレールの開業後の経営不振の影響があると言われています。
時は流れ、東京モノレールはその後、乗客数および売り上げ共に日本トップクラスの営業成績を誇るモノレール路線となりました。
日立アルウェーグ 
その後の東京モノレール 熱海モノレール   東京モノレール10000形
写真 東京モノレール

熱海モノレールの兄弟路線としては東京モノレールのほかに、
「ラインパークモノレール線(後のモンキーパークモノレール線)(名古屋鉄道)」
「関東レースクラブ(後のよみうりランドモノレール)」が挙げられます。
共に今日では廃線となってしまいました。

モンキーパークモノレール線
1962年(S37年)3月21日 開業〜2008年(H20年)12月28日 廃止
モンキーパークモノレール線は、1962年〜2008年まで存在した名古屋鉄道のモノレール路線です。
開業当時はラインパークモノレール線という名称で開業しました。
ラインパークモノレール線は犬山自然公園内の名古屋鉄道犬山本線犬山遊園駅と子供動物園を結ぶ全長1399mのモノレール鉄道です。
路線は名古屋鉄道犬山遊園駅より成田山を経由し、日本モンキーパーク内の動物園駅までを結んでいました。
「犬山遊園モノレール」「犬山モノレール」等の愛称でも親しまれていましたが、2008年12月27日の最終列車をもって惜しまれつつも廃線となりました。
熱海モノレールが同型を採用したと考えられるALWEG式モノレール犬山線
名鉄MRM100形
 犬山モノレールの軌道桁の現在の様子
今も一部の軌道が廃線跡として残るモンキーパークモノレール線

よみうりランドモノレール(関東レースクラブ)
1964年1月1日開通〜1978年12月1日廃止
よみうりランドモノレールは、全長3.1km 遊園地〜駐車場〜サッカー場〜スカイロードを周回する環状モノレール線です。
熱海モノレールで採用予定であった、日立アルウェーグ式モノレールとして建設されました。
当時世界最長のモノレールでした。
熱海モノレールの兄弟路線 よみうりランドモノレール   よみうりランドモノレール アーチ橋
写真 よみうりランド(関東レースクラブ)モノレールの廃線跡(1998年) 

【参考文献】
社団法人日本モノレール協会20年のあゆみ/日本モノレール協会
日立運輸東京モノレール社史/日立運輸東京モノレール株式会社社史編集委員会
鉄道ピクトリアル 昭和45(1790)年4月号 No.236 特集:日本のモノレール/鉄道図書刊行会
鉄道ピクトリアル 1988年12月号 No.504 特集:モノレール/鉄道図書刊行会
モノレールと新交通システム/グランプリ出版 2004.12.1
モノレール/オーム社
鉄道ファン 2008年12月号(通巻572号) 草町義和 熱海駅前の地下に眠る幻のモノレール駅/
株式会社 交友社 H20.12.1
 

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