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熱海モノレール-Atami Monorail-
【幻の始発駅 熱海第一ビルを行く。】
後編(2/2)
モノレール熱海駅正面入口を推定する。
(mjws.org参考資料)

3.熱海駅への入口は、そもそも存在しない?

前半では、熱海モノレール幻の始発駅「熱海駅」について、駅舎構造を形成する支柱位置を散策しました。
後編では熱海モノレール最大の謎とも言うべき、熱海モノレール熱海駅における正面入り口位置を推定します。

【熱海第一ビル場所打ち杭配置図(推定)】
(上部構造物、杭、地下3階フロア合成図)

黄色で示す小枠が支持層該当の杭位置と推定する箇所
灰色で示す小枠が支持層未到達杭位置と推定する箇所
緑で示す枠が、上部構造物の配置

まずは、再度上記支柱の配置およびモノレール駅舎配置推定図を参照いただきたいと思います。
さらにモノレール駅舎前後位置の熱海第一ビルの外観写真を以下に並べました。

 
熱海駅方より見た熱海駅外観

左写真の反対(海)側の様子

繰り返しになりますが、地下駅として計画された熱海モノレール熱海駅では駅舎のみならず、熱海駅を構成する駅を出て海岸線に到達するまでモノレール軌道は地下を行くことになります。つまりはGLレベルよりこの地下フロアへ到達させるためには絶対的に
エレベーターもしくは階段の存在が必要不可欠というわけです。

しかしながら現在の第一ビル内には、乗降客を誘導するに値する階段もしくは配置的に駅プラットフォーム部へ引き込める誘導線が存在していません。


B1フロアの配置図(図下側が熱海駅側)
図中右手の階段を伝って地下3階を目指してみる。

案内板にはしっかりと地下3階に機械室がある事が示されている。この機械室の壁の向こうが熱海モノレールのホームが配置されていると考えられている空間。
 
階段を伝って地下3階を目指すも・・・

一般人が入れるのは地下2階(駐車場)まで。

上記に示す機械室、実は建屋中央部全域に小分けされ配置されたビル管理(業務)用の空間として使用されています。
つまりは、この空間から熱海駅ホームへ正面入り口を配置する事は現実的に考えにくく、いくら入口を見つけたとしてもそれは本当の入口では無かったと言えます。



ではどこに本当の意味での入口があったのか、もしくは作る予定が成されていたのか・・・。

  まず可能性として消えるのがモノレール軌道承側。

モノレール軌道承階層とプラットフォーム階層において1フロア分の高低差が生じ、構造が複雑になりすぎます。つまりはこの高低差に対処するためさらに地下4階をくぐるか、地下2階(駐車場)区画に2階層分上げるかの選択が必要となります。

  次が上述した上記機械室部からの線。

客観的に見て一番入口を設けやすそうにも見えますが、矢印側に配置された機械室周辺に新たに入口を設けるとは考えにくいといえます。
  最後の残された線が以下の二か所。
プラットフォーム末端部に正面入り口を設ける線です。
そもそもビル内に導入部を設けないという発想がベースとなってしまいます。

説明を最後に回してしまいましたが、実は熱海駅側地下1階には、JR熱海駅正面と第一ビルとを地下で繋ぐ地下通路が設置されています。

第一ビル設置当初より存在したこの地下通路こそ、熱海モノレールの正面入り口に関する重要な情報を秘めているのではないかと考えらえました。

さて、ここで当サイト側のお話および文献の紹介を挟みます。
実際に熱海第一ビルを訪問するにあたり、資料の調査段階で草町義和氏が鉄道ピクトリアルへ寄せた文献を読む機会がありました。その結果、文献には既に今回のテーマの答えが示されており、つまりは熱海モノレールの正面入り口は熱海駅前の地下通路に計画されていたというものです。文献の詳細は実際の書籍でご確認いただきたいと思います(詳細は以下に記載)。

この情報を得たことで現地取材においては、実際現場の確認を成すことを目的としました。

「熱海駅前の地下に眠る幻のモノレール駅」鉄道ファン572号
2008年 交友社
・草町義和

4.熱海モノレール熱海駅現地確認

2017年末、熱海モノレール熱海駅の正面入り口を調査撮影する目的で静岡県は熱海市に飛びました。
上述した様に、モノレール駅の正面入り口は既に地下通路に配置される予定であった事が分かって(しまい)ましたので、この撮影を行いました。

 
熱海駅下車後、正面に配置される熱海第一ビルへ直行します。
といっても今回の目的はビル本体ではなく・・・。
 
JR熱海駅前に入口がある地下通路。
地下通路は正面の階段を下りた後、右手に直角に曲がり熱海第一ビルの地下一階に到達します。
 
地下通路へと続く階段。
写真正面が地下1階部で、右手に直角に折れています。
 
階段を右手に曲がった直後の光景。

この正面が熱海第一ビル(の地下1階層)で、その真下(地下3階)にはモノレールの軌道承階が位置していると考えられます。
さらに、熱海駅に留置線が設けられているとするならば、この地下通路の足元真下にはその空間が存在している可能性も考えられます。
あくまでも可能性ですが、この真下にモノレール1編成が留置できる空間が既に存在しているとするならば・・・なんだか夢が膨らみますね。

 
さて、熱海モノレールの正面入口が設けられていたかもしれない「地下通路の壁面」にやってきました。
プラットフォームは配置上この右手奥に存在するはずですので、ここに正面入り口を設置した場合、直後に右手に直角に曲がり、地下のモノレールプラットフォームまで階段を下り熱海モノレール熱海駅ホーム末端部に到達したものと考えられます。


また階段を下りた直後には券売所および改札口が設けられていたに違いありません。(写真は姫路モノレール大将軍駅のもの)

完成していたらどの様な駅となっていたのでしょう。
車両寸法を同等に持つ東京モノレールの様子を写真で示します。
(写真は東京モノレール羽田空港駅)
 
ちなみにこの地下通路の上部(地上部)はというと・・・

この様になっています。
整備に次ぐ整備で、恐らく建設当時の姿は残されていないのではないかと思います。
 
地下通路を奥へ進むと、前編で紹介した熱海第一ビルの地下一階へ到達します。 
 
フロアより地下通路を見る。
通路上面には「熱海駅方面」の文字が。

以上が熱海モノレール熱海駅正面入り口を撮影した画像集です。
現構造物にそれらしき目印は存在しないものの、上述した地下通路内に熱海モノレール駅の正面入り口があった事については信憑性が高そうだと言えます。また、JR(当時国鉄)熱海駅正面よりこの短い区間において地下通路を設けた理由と考えれば辻褄が合わせやすくなるのも事実です。

今回数回目の撮影取材でしたが、この取材に合わせて、ビル管理事務所の方でお話をさせていただきました。
これら熱海モノレールに関する存在可否の真実を知るためには、荒い言い方をするとビル自体を解体するタイミングでしか実際に確認する方法はないだろうという事でした。また合わせてモノレールホーム所有者についての質問に関しても、情報の提供は不可との回答をいただきました。ご多忙の所対応いただきまして誠に有難うございました。


/mjws編集
 
 
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