- Panama Metro line3 monorail construction plan. -
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1.パナマメトロ3号線(モノレール)1-1.パナマモノレールに関する概要パナマメトロ3号線(パナマ首都圏3号線モノレール整備事業)マニュファクチャラー:日立製作所、三菱商事 モノレールシステム :跨座式:日立製作所 大型(軌道寸法:850mm×1500mm)
開業予定 :2023年(パナマ運河第四橋2022年完工予定) 総延長 :27km(1期2期通算34kmの計画) 総事業費 :約20億ドル(約2350億円) パナマメトロ3号線は、パナマ共和国の首都パナマシティとその西側に広がる郊外地域を結ぶ、全長約25〜34キロメートルに及ぶ跨座式モノレール方式の都市高速鉄道プロジェクトです。本路線は、急速に都市化が進む首都圏の交通需要に対応するために計画されており、同国の公共交通網における基幹路線のひとつとなることが期待されています。 建設は2021年2月に着工され、現在進行中の第1期区間では、既存のメトロ1号線と接続するアルブルック駅から西部の新開発地域「シウダ・デル・フトゥーロ(未来都市)」まで、約27キロメートルにわたり14の駅が設置される予定です。この路線は、特にパナマ運河西側に位置するアライハンやラ・チョレーラといった人口増加著しい地域と、中心市街地とのアクセスを大幅に改善する目的を持っています。現在、これらの地域から市内中心部までの通勤にはピーク時で最大80分を要していますが、3号線の開業により所要時間は約20〜45分に短縮される見込みです。 本プロジェクトの大きな技術的特徴として、パナマ運河を地下で横断する約5キロメートルにおよぶトンネル区間が挙げられます。このトンネルは海抜60メートル以上の深さに掘削される世界でも稀な構造となっており、複雑な地質条件と水理環境に対応する高度な土木技術が求められています。また、路線の大部分は高架構造となっており、地形の起伏が激しい地域にも柔軟に対応できるよう設計されています。
導入される車両は、日立製作所が手がける「日立アルウェーグ式」の大型モノレールで、6両編成の車両が26〜28編成導入される予定です。これらの車両は最高速度80km/h、自動運転機能や再生ブレーキを備え、ピーク時には4分間隔で運行し最大で1時間あたり2万人の輸送能力を有します。車両には最新の安全制御システムが導入されるほか、バリアフリー設計や冷房完備といった快適性にも配慮されています。 プロジェクトの総建設費はおよそ25〜28億ドル規模で、そのうち約26億ドルは日本の国際協力機構(JICA)による円借款により賄われています。施工は、韓国の大手建設会社で構成されるHPHコンソーシアム(Hyundai Engineering & Construction、POSCO、Hyundai Engineering)が担当しており、設計・施工・運営に至るまで国際的な協力体制のもとで進められています。構造物には地震帯に位置するパナマの地理的特性に対応した耐震設計が施されており、マグニチュード9.0クラスの地震にも耐えられる仕様となっています。 2024年初頭の時点で建設進捗率は50%を超えており、トンネル掘削も本格的に始まっています。当初は2025年中の開業を目指していましたが、トンネル施工に伴う技術的課題や労働ストライキ、新型コロナウイルスの影響などにより、開業時期は2026年末から2028年末の間へと延期される見通しです。
1-2.現在想定されている開業時期(2028年12月?)「パナマ・メトロ3号線」は、当初2025年前半の開業が見込まれていましたが、その後、建設の進捗やトンネル工事の遅れなどの影響を受けて、開業時期が数回見直されてきました。2024年の時点では、2026年の完成を目指しているという報道もありましたが、2025年に入ってからは、より現実的な見通しとして「2028年12月に商業運行を開始する予定」であるという情報が複数の信頼できる筋から発表されています。特に、日本の国際協力機構(JICA)が関わっている公式な文書や報道では、2028年12月が現在の目標として明記されており、これはプロジェクトにおける正式なスケジュールとみなすことができます。このように、パナマのモノレールは、さまざまな要因から当初の予定より大幅に遅れているものの、2028年末の開業に向けて現在も建設が進められている状況です。 2.パナマ首都圏都市交通(3 号線:モノレール)整備事業2013年3月に、メトロ庁と国際協力機構(JICA)との間でパナマ都市交通3号線に関する調査の実施について合意がなされ、同年7月より本調査が開始されました。調査結果は2014年9月に取りまとめられています。以降の資料は、公表されている各種資料およびこの調査結果を参考にしています。
2-1.モノレール建設ルートパナマメトロ3号線は、メトロ1号線の起点駅であるアルブルック駅を東端起点に定め、第4パナマ運河橋沿いの主要道路とほぼ並行して南西方向へ延びるモノレールルートです。この路線はパナマ県内のパナマ地区、アライハン地区、ラ・チョレラ地区という3つの行政区を東西に結び、パナマ市東部と西部をつなぐ重要な軌道交通ルートとして計画されています 。建設は2フェーズに分けて段階的に進められています。第1段階(フェーズ1)はアルブルック駅から車両基地のあるシウダ・デル・フトゥーロまでの約26~27kmを対象とし、途中に14駅を設ける計画で、うち5.3kmはパナマ運河下をトンネルで横断し、最深で海抜約60~65mにも達する世界的にもまれな技術構造となっています 。 第2段階(フェーズ2)では、シウダ・デル・フトゥーロ以西をラ・チョレラ方面へ約10km延伸する計画が立てられており、西部首都圏全体を網羅するモビリティネットワークの基盤を構築する構想です。ただしジェネレーションや駅配置などの詳細ルートは現時点では未定となっています 。
2-2.モノレール建設ルート(フェーズⅡ)パナマメトロ3号線の第2段階(フェーズ2)は、現在建設が進められているフェーズ1の終点である「シウダ・デル・フトゥーロ駅」から、さらに西側のラ・チョレラ方面へ約8〜10キロメートル延伸する計画となっています。この区間の整備により、首都パナマシティと西部郊外の主要都市がモノレールで接続され、より広範な都市圏における交通の一体化が実現することが期待されています。ただし、フェーズ2に関しては現時点で建設工事は開始されておらず、具体的なルートや駅の配置もまだ最終決定には至っていません。ルートの詳細は現在も調整中であり、都市開発計画や交通需要の動向、地形や土地利用などの条件を踏まえたうえで検討が進められています。 フェーズ1の進捗状況を見ると、2024年時点で全体の工事は60%を超える水準に達しており、今後の完成に向けた仕上げ段階に差し掛かっています。これに伴い、フェーズ2の実施に向けた準備も本格化していくと見込まれます。具体的には、フェーズ1の完成後に、延伸区間における環境影響評価や地質調査、土地取得の調整などが段階的に行われる予定です。こうしたプロセスは、地域住民や関係自治体との連携を前提として進められるものであり、慎重な調整が求められます。 現在のところ、フェーズ2の開業時期については明確な見通しは示されていませんが、政府およびメトロ庁は、都市圏全体の公共交通機能を強化するためにも、この延伸計画を優先的に推進していく姿勢を示しています。とりわけラ・チョレラ地域は人口が増加傾向にあり、通勤・通学需要が高まっていることから、モノレールの延伸は経済活動や市民生活の利便性向上にも大きく寄与すると期待されています。 2-3.第4パナマ運河橋(モノレール橋併用)案からトンネル案への変更第4パナマ運河橋とは、3号線(モノレール)がパナマ運河を渡る際に通過する世界最大規模の道路モノレール併用橋です。主橋形式の候補は、調査よりアーチ橋と斜張橋に絞られています。 パナマメトロ3号線において、パナマ運河を横断する区間は、当初「第4パナマ運河橋(Cuarto Puente)」を用いてモノレールを運河上に渡す計画となっていました。この橋梁案では、車道に加えて中央部分にモノレール専用軌道を併設する構想が盛り込まれており、道路交通と鉄道交通を一体化した複合橋としての整備が予定されていました。橋上には自動車道路6 車線およびメトロ3 号線軌道(モノレール)2 車線を配置するため、橋梁幅員50mを越える大規模構造物となる計画で、層構造は1 層および2層から検討が行われ、最終的に1層案が選定されています。元々はモノレール軌道を中央に配置するレイアウトで調査が進められていましたが、パナマ運河東西に設けられる予定のバルボア駅およびパナマ・パシフィコ駅の位置が第4パナマ運河橋太平洋側(南側)へ変更となったため、線形配置の点からモノレール軌道は橋梁の太平洋側に配置される事になりました。設計上、橋の全幅は50メートルを超え、そのうちの一部にモノレール用スペースを確保するという先進的な構造が想定されていたのです。 しかしその後、技術的・経済的な検討を経て、モノレール部分については橋梁ではなくトンネル方式に変更されることとなりました。背景には、複合橋による構造的な複雑性や施工リスク、コストの増大、さらには長期的な安全性・運行安定性に対する懸念などがありました。こうした判断により、モノレールは運河の地下を横断する形で建設されることが正式に決定されました。 現在、この区間では、海抜60メートル以上の深さにおいて長さ約4.5〜5.3キロメートルのトンネルを掘削する大規模な工事が進められています。使用されているのは直径約13.5メートルのミックスシールド型トンネル掘削機(TBM)で、高い地下水圧や地質の変化に対応可能な構造となっており、世界でも数少ない大深度・長距離モノレールトンネルの一つとして注目されています。2024年には掘削が本格的に開始されており、2025年にかけて着実に進行しています。 2-4.設置駅メトロ3号線(モノレール)は、アルブルックを起点として、第4 パナマ運河橋を通過、ラチョレラ地区までを結ぶ全長26kmのルートが想定されています。メトロ3号線(モノレール)は、営業用全14 駅と緊急避難用駅からなります。 車両基地内にある最終駅を除き、全駅高架駅として計画されています。
2-5.車両基地パナマメトロ3号線の車両基地は1-1期終点となるシウダッド・デル・フトゥーロ駅に付帯し設置が計画されている。車両基地用地の面積は全体で約 10 ヘクタール。 車両基地にはメトロ 3 号線の運行管理を担う運行管理センタ ーが設置される他、管理棟、変電所等も併設される。モノレール関連設備としては、モノレール車両を留置するための留置線、検修するための検修線、車両検修工場、洗車機およびタイヤ交換場の設置が計画されている。2023 年の開業時には 26 編成を収容する計画で、1期区間-2延伸部(3駅)開業時には、6編成増備し、全 32 編成を収容する予定。収容される編成はいずれも 6 両固定編成で計画される。全編成の内、2編成は起点のアルブルック駅、1 編成はパナマ・パシフィコ駅、1 編成はヌエボ・チョリーヨ駅に駐泊される予定。更に、将来2期区間への延伸を考慮し、車両基地 には 10 編成分の留置線を拡張可能な用地を確保している。![]() 2-6.モノレール車両3号線に導入予定のモノレール車両は、日本で実績のある大形跨座型モノレールの仕様に基づいた仕様とされている。
3.パナマ共和国パナマ共和国(通称パナマ)は、北アメリカ大陸および南アメリカ大陸の境に位置しています。北は大西洋、南は太平洋に面しており、両洋はパナマ共和国が管理するパナマ運河によって接続されています。 2016年度にはパナマ運河の拡張工事が完工する予定で、日本も拡張工事へ融資を行っています。
パナマ運河の通過船量は、年間でおよそ1万4000隻(日の平均でおよそ40隻/日)。 主に米国、中国、チリ、日本および韓国が利用しています。 パナマ運河には橋が2本架かっており、その一つにパンアメリカンハイウェイ内にあるアメリカ橋(もう一橋はエンティニアル橋)があります。 2004年にセンティニアル橋が架けられるまで、南北アメリカ大陸を結ぶ唯一の橋となっていました。 開通後、年を追うごとに自動車交通量は増加を続け、アメリカ橋はハイウェイの渋滞の主原因ともなっています。 パナマメトロ3号線(首都圏3号線:モノレール)は、このアメリカ橋付近を併走し両岸を渡るルートが計画されています。 計画名称はパナマ運河第4橋(モノレール併用橋)。 橋上面にはモノレール軌道2車線と、自動車道路上下3車線(全6車線)が整備される計画です。 このパナマ運河第4橋(モノレール併用橋)が完成すると、人員を輸送する目的の橋という意味ではパナマ運河に架かる3つ目の物となります。 パナマ運河第4橋(モノレール併用橋)は、アメリカ橋の全長を参考として1.6km近くの長大なモノレール専用橋になると考えられます。 4.その他報道資料
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4.パナマシティモノレールに関する報道 |
パナマ、日本のモノレール導入へ 事業費2千億円 2016年1月16日 10時38分 共同通信 【ロサンゼルス共同】 中米のパナマは首都圏の都市交通インフラ整備の一環として日本のモノレールを採用することで日本政府と基本合意、15日までに黄川田仁志外務政務官とパナマのインカピエ外務次官が日本で覚書を交わした。 在パナマ日本大使館によると、パナマ側は数年前から「日本の技術をぜひ活用したい」と強い意欲を示していた。安倍政権は成長戦略や新興国との関係強化策として、2020年に海外インフラ案件の受注と事業投資収入の合計を約30兆円に増やす目標を掲げている。 対象の都市交通は、パナマ運河を横断する全長27キロのルート。総事業費は約20億ドル(約2340億円)。 http://news.livedoor.com/article/detail/11070670/ |
パナマ大統領が訪日へ=モノレール建設で署名 時事通信 2月22日(月)11時34分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160222-00000043-jij-int 【サンパウロ時事】パナマ政府は21日、パナマ運河を横断する都市交通に日本方式モノレールを採用するため、バレラ大統領が4月18日に訪日し、安倍晋三首相との署名式に臨むと発表した。 AFP通信が報じた。 中米カリブ地域でのモノレール導入は初めて。 日立製作所や三菱商事が参加する企業連合の受注が有力で、総事業費は約2300億円。 年内に着工し、2022年の完成を目指す。 日本・パナマ両政府は1月、日本式のモノレール導入で合意。 日本は円借款による資金提供を検討している。 |
![]() 急勾配&カーブへの強みを活かすモノレール軌道 画像は大阪モノレール万博記念公園駅付近 |
![]() 日立アルウェーグ式モノレール(中型) (東京モノレール1000形) |
![]() モノレールニュース 2016年4月17日パナマ大統領訪日 | 20日モノレール建設で署名式、18日には多摩モノレール視察 |
mjws モノレールニュース | |
![]() 2018.8.29 |
パナマメトロ3号線(モノレール)事業本格化、 8月29日事業業社との契約締結。 |
①アルブルック ②カジェアマドール パナマ運河モノレール橋 (東岸-パナマ運河-西岸) ③ラコナ ④アライハン ⑤ヌエボチョレラ ⑥ビスタアレグロ ⑦ヌエボアライハン |
![]() パナマメトロ(パナマモノレール) 3号線路線図 |
![]() パナマ首都圏3号線モノレール整備事業 計画ルート (国際協力機構 案件概要書-2013.2.26-) |
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