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モノレールの工作車

新型工作車 602導入(搬入、組立および試験走行を追う)

北九州モノレールの工作車

(1.新型工作車602搬入作業の様子(その1:移送〜搬入編)) 

1.新型工作車602搬入作業の様子
(その1:移送〜搬入編)

2019年3月19日〜20日にかけて、北九州モノレールでは新型工作車「602」の搬入作業を実施。今回の工作車は北九州モノレールでは2機目となるアント工業&北陸重機製の工作車で、車両ナンバーは昨年導入した601号に続き2番機を意味する「602」となった。今回、関係者様の協力を得て、602号搬入作業〜走行試験までの様子を追ったので以下にその様子を紹介する。記事は前編(〜搬入・組立)および後編(試験走行)として掲載した。

2.工作車「602」の移送

  2019年3月19日午前4時頃、工作車602を積載し新潟の北陸重機工業を出発したトレーラーが丁度九州上陸の手前まで差し掛かかっていた。工作車602の主要構成部を輸送するトラックは、工作車のキャビンユニットと台車ユニットを分割した低床トレーラー2台体制。撮影を始めた時点では、下部構造物積載車が先行、上部構造物積載車が後追いのキャラバンを形成し、九州は北九州モノレール企救丘車両基地へ向け快調に駒を進めているところだった。天気は生憎の雨空、積載車は激しく水飛沫を挙げ、積載される工作車の養生カバーは雨風に激しく靡いていた。

4時半過ぎ、キャラバンは本州と九州とを越境する関門海峡に差し掛かった。新潟、つまりは本州生まれの工作車602が、故郷の地を離れ、遠い九州に上陸した瞬間だ。

関門海峡を渡る工作車

新型工作車602のキャビンおよび台車を積載したトレーラーは関門海峡を越え九州へ上陸。
 今後保守業務に従事する事となる北九州モノレール企救丘車両基地へ向かう。
(雨天により画質の荒れはご容赦下さい。)

関門海峡を行く北九州モノレール工作車602
トレーラーが九州に上陸

九州自動車道を行く北九州モノレール工作車602
工作車602(キャビン)を乗せたトレーラー
小倉南インターに到着した北九州モノレール工作車602
小倉南インターチェンジに到着した積載トレーラー

 幌をかけられているため外観上何が積載されているのか判りにくいものの、この中に北九州モノレール向けの新型工作車「602」が設置されている。強雨、小雨および一時的に雨が降り止む状況が繰り返される中で、低床トレーラーが水飛沫を上げながら自動車道を直走る。やがてトレーラーは企救丘車両基地最寄りとなる目的インター(小倉南)に到着。複数の誘導車に誘導されながら、最後の工程区間となる一般道に入った。
 
高速自動車道(小倉南IC)を降り、市内一般道に入った新型工作車601キャビン部。
徳力嵐山口付近を行く北九州モノレール新型工作車602
ついに北九州モノレールの軌道桁(営業線 徳力嵐山口駅付近)と合流。ゴールが目前に迫る。
 
徳力嵐山口駅前の交差点を企救丘方向へ右折する積載トレーラー。
 
志井〜企救丘駅間をゆく積載トレーラー
(画像は工作車602キャビン部)
先に見える企救丘駅の先には、一連の輸送作業のゴールとなる企救丘車両基地が待つ。

 午前5時過ぎ、新型工作車を積載したトレーラーが企救丘車両基地に到着。
 工作車602を積載したトレーラー2台は、このままこの場所で朝まで待機。
 以下は朝方の様子。生憎の曇り空となったが、辺りは既に明るくなっていた。
 

朝を待ち、工作車602の養生シートが取り外されていく。
 
この時点で外観上目を引くのが車体に付されたライン。工作車601号に付された青白青のラインから、青3本、白2本のラインに変更されている。
 
養生シートがほぼほぼ取り外された。

キャビン外観上、工作車601とのもう一つの大きな違いが、キャビン天井に配されたこの作業床。概要は本記事下方に、詳細は工作車602紹介ページで記載を予定。
  北九州モノレール工作車601が車両基地内の広場に到着した
こちらは比較参考として示した、工作車601搬入時の画像。前回搬入時も雨が降ったりやんだりと非常に荒れた天候だった。

続いて新型工作車602の台車部分の養生シートの取り外しが始まる。

今回は601搬入時と異なり、前後作業台が予め取り付けられた状態で運ばれた模様。
 


AM9時前、後に到着したクレーンのアウトリガー張り出しを合図に、いよいよ工作車602の組立作業が開始された。
 

北九州モノレール工作車602台車部分
3番線脇に据え置かれた工作車602の台車部分。上下構造物の組み立て作業はこの場所で実施された。
 北九州モノレール工作車602タイヤ部分  

台車部分の設置が完了後、ただちにキャビン部分の吊り上げを開始、上下が一体に組み合わされる。
   クレーンで吊られる北九州モノレール工作車602キャビン
吊りあげられた工作車602のキャビン。
新型工作車「602」には301、501および601に引き続き同北九州モノレール社のアイディンティティーカラーである青ラインが付された。前述した通り、ラインデザインは601とは異なり、青ライン3本とその間に反射機能が施された白ライン2本で構成される新たなデザインとなった。 
   
台車部分にキャビン部が降ろされ、工作車602がその姿を現した。
   
 今回新型工作車602の製作を担当したのは"アント工業社"ならびに新潟県の"北陸重機工業社"。主に鉄道用の保守車両や機械社両を製作している企業としても広く知られる。近年では、一昨年に同北九州モノレール社へ納入した工作車601や、多摩モノレール社向けのK-1、K-2等モノレール工作車マニュファクチャラーの1社としても知られる。
 "アント工業社"は、特に構内けん引車両、通称「アント(蟻の意)」が広く知られている。
 
   
 
上下が固定された後、キャビンを吊っていた吊り具が外される。
 
   
組み上げ作業の完了を待って、クレーン車は撤収。
北陸重機工業モノレール工作車602
組み上げ後の工作車602外観
(側面)
北陸重機製工作車602
組み上げ後の工作車602外観
(小倉方前面)
 モノレール工作車602外観  
今回、これまでの工作車との外観上の最大の違いが、この天井に配されたスライド式作業台。主に駅舎天井や車両上部に位置する構造物の補修作業などの用途に用いられる。作業床の周囲には取り外し式の手摺りが設置できる様に設計されており実際の作業時には相当の車高になる。

作業床は前後に2台配置されていて、床部寸法は左右方向に2.6m、前後方向におよそ1.5mとなっている。実際の作業時、作業床は左右方向に片側1m程度スライドさせる事が可能な設計となっており、工作車の車幅を超える範囲での作業を行う事ができる。2台ある作業床はそれぞれ独立して可動させる事が可能なため、両作業床が反対方向に張り出すと、最大幅は4.6mにも及ぶ。


左写真 工作車601および602比較
右写真 スライド式作業台概略外観図

 

作業床を展開した状態
保守作業員はこの床上で作業を実施する事となる。
(画像は後日撮影したもの。)
北九州モノレール工作車602可動式天井床
作業床を収納した状態。
(画像は後日撮影したもの。)

上下組み上げ後は手摺梯子等々の設置作業が実施され、本日の作業は終了。軌道桁への設置作業はこの翌日に実施された。
 
   アント北陸重機工業モノレール工作車602
   

新型工作車602 2019年3月導入 インデックスページ
新型工作車602搬入作業の様子 その2:試験走行編(2019.3.22)

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