
1.工作車(保線車)
「工作車」は、営業運転が終了した深夜、モノレール軌道の保線作業(点検作業、建設作業)を行うための事業用車両です。
モノレールの営業を安全に運営するためには、日常的恒久的な保守点検活動が欠かせません。
「モノレール」は、他の二条鉄道とは異なり、空中の高い位置に軌道が位置しています。レールに当たる「軌道」が、コンクリート製および鋼製と分かれている事や、通信ケーブルおよび架線もこの軌道桁に配置されている事によって、特殊な被作業体が生み出されます。
さらに運営路線によっては、海上、地下等に軌道が設置される事によって、実に様々な状況下での作業が必要とされます。
「工作車」は、これらファクターに対応した様々な仕様に変化しつつ、保守作業遂行に欠かせない必須ツールとしてモノレールの運行を陰ながら支えています。以下に、モノレール各事業者別における事業用車(工作車)について紹介します。 |
|
|
2.モノレール保線車両の製造メーカー
現在、国内は元より世界中のモノレール営業線にて保線車両(保守作業車)が活躍しています。
それら保守作業車の製造は、主に以下メーカーが担っています。 |
三菱ロジスネクスト |
三菱ロジスネクスト
(旧ニチユ三菱フォークリフト、旧 日本輸送機)
主要事業内容:工作車の他、各種フォークリフト、物流システム等
「ニチユ」のブランドで広く知られる。
|
アント工業(アント) |
アント工業株式会社
北陸重機工業 株式会社
JV
主要事業内容:工作車の他、鉄道車両、特殊装備車等 |
北陸重機(北重) |
日本除雪機製作所
(日除・日本除雪) |
株式会社日本除雪機製作所
主要事業内容:工作車の他、ロータリー除雪車・凍結防止剤散布車・軌道モーターカー等 |
日立製作所 |
日立製作所
モノレールシステムの他、工作車(保守作業車)製造販売も展開。 |
|
3.国内各社工作・作業車保有台数
国内で運営を行うモノレール事業者によって保有される工作車台数は以下表の通り。
営業距離数および開業時からの経過年数によって保有台数が増加。
東京モノレールについては上述した経過年数(劣化・補修箇所増加)以外にも、海上および地下部が存在する事による専用作業車の配置によって台数が増加。
東京モノレールではDE形に代表される内燃機関式の工作車が主流であるのに対し、北九州(1985年開業)以降に開業したモノレール運営社では主流がバッテリー式へと移行してます。
都市モノレール法施行後、都市モノレールの都心部への建設が進んだことにより、深夜帯低騒音での作業遂行が必要とされた事によるものとなっています。
なお、動力スペック上はやはり内燃機関式が有利となっていて、内燃機関式工作車の最高速度が60km(牽引用途車:40km)であるのに対し、バッテリー式では30km程度となっています。
各運営会社工作車両保有台数(跨座型) |
|
東京 |
北九州 |
大阪 |
多摩 |
沖縄 |
開業年度 |
1998 |
1985 |
1990 |
1998 |
2003 |
2019 |
営業km |
16.0 |
8.8 |
28.0 |
16.0 |
12.9 |
16.6 |
普通工作車 |
8 |
5 |
6 |
2 |
2
|
3 |
牽引用途工作車 |
3 |
- |
1 |
1 |
- |
- |
クレーン車・作業台車 |
4 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
計測・測定車 |
2 |
- |
- |
1 |
- |
- |
合計 |
17 |
5 |
7 |
5 |
3 |
4 |
一車両当たりの受持km |
2.0km |
2.2km |
5.6km |
8.0km |
6.5km |
5.6km |
工作車等工作機器は取扱い上はいわゆる機械に該当(便宜上車両数として表記)。
普通工作車:普通作業従事の意(バッテリー、ディーゼル両方式合算値)
一車両当たりの受持km:普通工作車で算出
沖縄(ゆいレール):2019年てだこ浦西延伸(4km)に伴い2017年1台増備
大阪モノレール:工作車106増備
北九州モノレール:工作車601増備
|
|
|