-大阪モノレール新型車両3000系お披露目 2018年9月18日-
大阪モノレールは、2018年9月18日。2018年10月21日より営業運転に導入を予定する新型車両3000系のお披露目会を実施した。新型車両のテーマは、〜
人と人、人と沿線をつなぐ “新たなシンボル”に〜。『やさしさ・おもてなし』『清潔感・開放感』『楽しさ』『チャレンジ』など4項目。同社社員が乗客目線でデザインし、誰もが使いやすい「ユーティリティ性」を持たせ、子供から大人までが楽しめる「モノレールの魅力」を磨き上げた車両となっている。同社では3000系の導入決定に伴ってワーキンググループを発足、上述したユーティリティ性からデザインまでを検討し今回の新型車両の仕様決定を行った。お披露目会には、TVラジオなどでお馴染み“鉄ドル”(鉄道好きタレント)の「斉藤雪乃」さんがゲストとして招待された。以下に当お披露目会の様子を画像集として掲載する。
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【屋内での概要説明】 |
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除幕式に先立ち、大坂モノレール本社研修室にて大坂モノレール社 吉村社長の挨拶によりお披露目会がスタート。新型車両3000系の概要説明、プロモーションムービーの公開、斉藤雪乃さん、デザインワーキンググループの4名によるトークセッションが等が実施された。式冒頭、大坂モノレール取締役社長
吉村氏は、新型車両3000系導入に至る経緯や思いを語った。
大阪高速鉄道 吉村社長
代表者挨拶 吉村社長 |
皆さんおはようございます。大阪高速鉄道株式会社の吉村でございます。本日は新型車両3000系のお披露目会を開催いたしましたところ、大変お忙しい中朝早くからご参加をいただき誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。今年は全国的に地震や大雨や暴風や高潮などの自然の猛威の前に各地で大きな被害がございました。大阪モノレールも6月18日に発生いたしました大阪府北部を震源とする地震や、9月4日の台風21号の影響で長期間運休し、お客様をはじめ関係者の皆様にご心配とご迷惑をおかけいたしました。現在、この貴重な教訓を今後の防災体制に活かし、より安全で快適なモノレールを実現するため取り組みを進めているところでございます。
さてこのような中で本日は久しぶりに明るい話題、新型車両3000系のお披露目をさせていただくことができます。これもひとえに大阪モノレールをご利用いただいているお客様、沿線地域の皆様方また様々なご支援をいただいている関係者の皆様のおかげでございます。この場をお借りいたしまして改めて御礼を申し上げます。現在大阪モノレールには平成2年の開業以来、営業運行しております1000系、平成13年に導入いたしました2000系と合わせて21編成が運行しておりますが、1000系と2000系は見た目にそんなに大きな違いはございませんので、そういった意味では本格的なリニューアルは大阪モノレールとして初めてでございます。この車両の製造にあたりましては、車両担当の技術者だけでなく、現場で働く運転士や駅のフロアーアテンダント、本社の事務社員などでデザインワーキングチームを結成し、優しさ・おもてなし・清潔感・開放感・楽しさ・チャレンジなどをキーワードに、お客様の視点で約2年半にわたり議論を重ねていまいりました。製造をお願いいたしました日立製作所様のご協力を得、大阪モノレール全社員の思いを乗せて作り上げた車両でございます。安全性の向上やバリアフリー機能の充実はもちろん、全てのお客様にワンランク上のサービスをご提供し「人と人」「人と街」をつなぐシンボルとして、これからの大阪モノレールの主力となる新型車両3000形でございます。来月(10月)21日に営業運転を開始する本日お披露目の50編成に加えまして、今後約5年間でさらに8編成を導入する予定でございます。詳しい車両の説明は後ほど担当者からさせていただきますので、その後ゆっくりと実物をご覧いただきたいと思います。大阪モノレールは今後も安全、安定輸送をより強固なものとし、お客様に信頼される鉄道多様なニーズに耳を傾けワンランク上のきめ細かなサービスによるお客様に喜ばれる鉄道そして地域との積極的な交流や、情報発信などを通じて地域に愛される鉄道を目指してまいりますので、引き続きご支援ご指導を賜りますようお願い申し上げます。本日はお忙しい中お越しをいただきまことにありがとうございました。
(一部略) |
吉村社長の挨拶の後来賓紹介が行われ、引き続き車両課豊田係長より新型車両3000系の概要説明が行われた。以下は、豊田係長による新型車両3000系の概要説明をベースに画像および説明内容を記載する。
新型車両概要説明 豊田車両課係長
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新型車両概要説明/車両課豊田係長 ※内容は一部略記および調整を含みます。
車両課の豊田裕三と申します3000軽車両の概要をご説明します。
3000系車両デザインは車両担当者のみだけでなくお客様の接遇する駅係員や女性の視点乗務員の経験お客様のご意見を取り替え入れた車両とするため2015年6月にワーキングチームを立ち上げ、7名のメンバー及びメーカーの設計者デザイナーを含めて活動を開始しました。まずデザインコンセプトの方向性を決めるため、メンバーで意見を出し合いました。大阪モノレールのイメージ、良いところ悪いところ、沿線のイメージなどを確認し、大阪モノレールのあるべき姿、新しい車両はこうしたいなど議論しました。そしてデザインコンセプトの方向性として、通勤電車であること、清潔感がある、快適性の向上、乗ってみたいと思っていただける車両とすべきことからご覧の5つのキーワードを基本にデザインすることにしました。1.優しさ・暖かさ 2.清潔感 3.エンターテイメント性 4.チャレンジ 5.手をつなぐ、5つのキーワードをさらに具体化し方向性から外観内装イメージを膨らませ、沿線地域などの外部環境への対応、目的に合致したデザインであることを念頭に置いて進めて参りました。
外観デザインはメーカーのデザイナーにコンセプトを元に案を複数提示してもらいその中からコンセプトイメージに合ったデザインを選定しました。(中略)ワーキングは月一回2時間程度の会合で、コンセプトイメージやカラーリング材質等の選定を行いました。外観カラーリングについてはワーキングメンバー約50作品の中から選定いたしました。結果、メンバー2名のカラーデザインをミックスしたものを決定し、カラーについてはイメージからのマリンブルー、アクセントカラーのアザレアパープルを踏襲しました。
左側(上写真左)が2000系車両との比較で、頭部に丸みを持たせた柔らかい形状としました。こちら(上写真右)がCG指示によるイメージとなります。側面はイメージカラーのマリンブルーをグラデーション化、新たなシンボルとし、また大きな波を表現しています。
決定されたデザイン |
新型車両3000系(外観)
お披露目時撮影画像 |
デザインの一例 |
採用デザイン |
続きましてインテリアデザインについてご説明いたします。インテリアデザインは外観との調和を考慮しました。コンセプトである優しさ暖かさ清潔感の感じられる室内空間とするため、このような(下段左写真)言語イメージスケールでマッピングイメージを行いました。この図のハードソフトではソフトより。ワーム、クールではクール側にマッピングされています。室内からはイメージスケールのマッピングでコンセプトに合うカラーを確認し選定しました。例えばこちらダンディーな配色になります。洗練された落ち着いたでアイテムをチョイスするとイメージがダンディーとなり、メンバーの意見としては暗く感じる、空間が狭く感じるなどの印象でありました。一方こちらのイメージ(右下2段目写真)ではエレガント系な配色隣暖かさを感じられる、開放感がある、明るく感じるということでこちらの空間イメージを採用しました。(なお、優先座席等については)バリアフリーガイドラインに基づいて一般座席分と区別する色調としました。
言語イメージ |
カラーイメージスケール上でのマッピング |
イメージ「ダンディ」 |
イメージ「エレガント」 |
続きましてエンターテイメント性の具体化について。客室にはお子様に人気の展望席に加え新たにお子様がモノレールに乗ってワクワクするキッズスペースを創設しました。複数の子供が同時に前方運転室を見ることができます。また仕切り壁に腰当てを取り入れ居心地の良さ、そして家族が近くで見守れるようにする、ベビーカー使用者に使用しやすい空間とすることとしました。キッズスペースは原寸大の模型を作成し寸法、腰当て等の空間イメージを確認しました。あくまで通勤電車であることを意識しつつ、ラッシュ時間帯でも使用可能な設計としております。車両連結部ガラス戸にはお子様たちが思わず微笑むような花や鳥昆虫などを用いたイラストを配置し、遊び心を加えたものにしております。
キッズスペース |
車両連結部ガラス戸 |
続きまして車内設備や仕様についてご説明いたします。主な内容をこちらにあげます。お客様の快適性の向上として、座席一人当たり現行440ミリから480ミリとワイドになりました。シート生地も肌触りの良いものを採用しております。前出入り口に15インチ表示機を案内用と広告用を設置します。窓のカーテンは任意で止めることができるフリーストップ方式を採用しました。案内表示機の言語は日本語英語中国語韓国語の4カ国に対応します。空調装置に暖房機能を追加し冷暖房機能を強化します。また空気清浄機を全車に搭載します。
大阪モノレール新型車両3000系インテリア
(車内は清潔感のある白を基調とした。)
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8人掛けのロングシートは幅48cmと通勤電車としては最大クラスとなった(対従来車は幅44cm)。シート生地も肌触りの良いものが選定された。
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続きまして安全性についてご説明します。主な内容としましてはこちらになります。車体について既存車ではシングルスキンアルミ交代ですが、3000形では合成を増して歪みが少ないダブルスキンアルミ交代を採用しました。既存車でも搭載している非常用脱出シューターを搭載します。こちらは編成二箇所に設けたスパイラルシューターはより早く確実にお客様を地上へと誘導可能でき、万一に備えて安全性を高めます。運転代は操作性を追求したT型ハンドルを採用しました。なお運転代は実物大の模型を作成しメーターやスイッチ類の配置操作性について全運転手を対象に意見要望を集約しました。
編成二箇所に設けたスパイラルシューター |
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T型ハンドルを採用 |
新型車両3000系の運転台 |
続きましてバリアフリーについてご説明します。車椅子スペースはもちろんのこと使いやすいわかりやすい安心できるような空間とするため、高齢者、お子様に配慮した吊り手に棚の高さや優先座席分の明確化、スタンションポール増設などお客様の使いやすさを追求しました。現行スペースを再構成し、ベビーカー、スーツケース利用など多様なお客様が使いやすいオープンスペースを整備しました。またベビーカー利用者の使いやすい腰掛を設置しました。
スタンションポールを増設 |
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続きまして環境への配慮についてご説明いたします。モーターを動かすための制御装置ブレイブEVエフインバーター制御装置においては従来車種に比べ回生ブレーキ領域を拡大し高効率化を図ります。回生ブレーキとはモーターを発電機として使用しブレーキ力を得るものです。次に潤滑油不要のオイルフリーコンプレッサー等機器の小型化メンテナンスフリー化を積極的に進め、コストの縮減、環境負荷の低減を行いました。
今回新たに停車時間の長い週単位終端駅において、車内温度を保持させる半自動ドアを採用、冷暖房時の消費電力の削減を行います。運用方法においては現在社内調整中でございます。続きまして最後になりますが、車両緒元がこちらになります。走行性能は最高速度75キロ、加速度3.0、車両定員は400名となります。その他以下の内容となっております。以上が3000系車両の概要でした。このあと車両基地に置いてお披露目させていただきます。ご静聴有り難うございました。
車両緒元 |
新型車両概要説明 豊田車両課係長 |
新型車両概要説明 豊田車両課係長による新型車両3000系の概要説明の後、お披露目会はプロモーション映像の公開へと移った。
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プロモーション映像公開 |
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車両概要の説明に続き、スクリーンにて新型車両3000系のプロモーション映像が公開された。
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概要説明およびプロモーションビデオ内にて、大阪モノレール社内で結成した(新型車両の)デザインワーキングチームのこれまでの活動内容が紹介された。デザインワーキングチームの活動は今回の公開に至るまで、およそ2年半にわたった。ワーキングチームは大阪モノレール社員7名、メーカー設計者、デザイナーにより構成された事も説明された。
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【トークセッション】 |
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トークセッションでは、デザインワーキングチームの3名および鉄道アイドル(ゲスト)の斉藤雪乃さんが登場した。
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【除幕式】 |
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吉村社長、斉藤雪乃さんのお披露目スイッチを合図に、大阪モノレール新型車両3000系がスモークの中から登場した。スモークには、3000系より採用された青色のLED灯が映し出され、現場には幻想的な雰囲気が漂っていた。
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プレス用記念撮影
(来賓・斉藤雪乃さん・吉村社長) |
プレス用記念撮影
(斉藤雪乃さん・吉村社長) |
プレス用記念撮影
(斉藤雪乃さん) |
左より吉村社長、ゲストの斉藤雪乃さん |
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お披露目会後は、豊田車両課係長より車両仕様についての説明が実施された。新型車両3000系では、いわゆる回生ブレーキ領域を拡大した事によって省エネ性も向上しているという。
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1.車両エクステリアデザイン
大阪モノレール新型車両3000系は、丸みを持たせた先頭車上部デザインが特徴。従来車の1000系、2000系とは異なり、車両前面から見た外観より天井部の室外機が見えない様デザイン上の工夫が成されている。カラーリングについては、従来車で採用されていた直線的なデザインから一新され、4両編成全体を通して大きく円弧を描くものへと変更された。ラインカラーには1000系21〜25編成および2000系と同様、同社イメージカラーのウルトラマリンブルーと、アザレア※パープルを採用する。またモノレール車両では初となる「半自動ボタン」が新設された。「半自動ボタン」とは、乗降客が自身でボタンを押してドアを開閉し乗り降りする装置。主に夏季や冬季において冷暖房の効率を上げるための機構となっている。車体はアルミ合金製、車両寸法は編成長14,800mm、幅2,980mm、全高5,190mm、設計最高速度85km/h、営業時最高速度75km/hとなっている。
※アザレア:ツツジ科ツツジ属に分類されるツツジ。別)「アゼリア」、「西洋ツツジ」等
大阪モノレール新型車両3000系車両外観
カラーリングは、同社イメージカラーのウルトラマリンブルーとアザレアパープルをベースとした。 |
大阪モノレール新型車両3000系外観
(社内見学に向け6番線に移動する際の様子)
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なお、大阪モノレールでは将来の6両編成化に対応できる様編成が構成されており、新型車両3000系(3150F)についても中間2両の編成番号が空席となっている。しかしながら、今回3000系に導入された上記エクステリアデザインは現状のところ、この6両編成を見越したものとはしていないという事だった。先頭形状はやわらかさを表現、側面には大阪モノレールのアイディンティティカラーであるマリンブルーをグラデーションとして配色、アクセントとしてアザレアパープルを合わせた。 |
新型車両3000系(外観)
デザインワーキンググループの濱本さんと共に。 |
新型車両3000系
灯火類にはLEDライトを採用。 |
新型車両3000系(連結器部外観)
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新型車両3000系(側面外観) |
今回新たに新設された「半自動ボタン」/大阪モノレール新型車両3000系側面 |
今回新たに新設された「半自動ボタン」/大阪モノレール新型車両3000系側面 |
新型車両3000系では新たに半自動ドアを採用した。これは特に終端駅などでの待合時に、乗客がドアの開閉を行える様にするもの。冷暖房性の向上に寄与するという。なお、この半自動ドアの運用は現在協議中との事。 |
2.車内インテリア
車内の座席配置は、乗務員室直後に配置されるキッズスペース(前面展望用シート)を除きロングシートをベースとしている。通勤電車最大クラスとなる幅48cmの個別シートを採用し居住性の大幅な改良を図った。乗降扉とロングシートの敷居部にはガラス材が挿入され極めて開放感のあるデザインとなった。側面および天井部には白を基調としたデザインが取り入れられ清潔感のあるデザインにまとめられている。編成あたり定員は400名、座席数は124席となっている。眺望を楽しめるよう窓を大型化、さらに車間扉や荷棚にもガラスパーツを用い、明るく清潔感のあるインテリアとして仕上げられている。エンターテイメントゾーンとしてキッズスペースも設置する。さらにモノレール車両としては初の「ナノイー」搭載の空気清浄機も導入する。
大阪モノレール新型車両3000系インテリア
(車内は清潔感のある白を基調とした。)
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8人掛けのロングシートは幅48cmと通勤電車としては最大クラスとなった(対従来車は幅44cm)。シート生地も肌触りの良いものが選定された。
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シートカラー等は、バリアフリーガイドラインに基づいて一般シートと区別されている(上下写真参照)。窓に設置されるカーテンは、任意の位置で止める事ができるフリーストップ方式を採用している(右下写真)。
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優先席部シート |
荷物棚部およびカーテン |
吊り手もアザレアパープルでデザインされた。 |
車両間の貫通路 |
今回、新型車両3000系ではエンターテイメントゾーンとしてキッズスペースを新設した(右下写真)。特に子供がモノレールに乗って「わくわく」できる様工夫されたもので、複数の子供が同時に車両前面を展望出来る様になっている。また、床面はベースとなる床面よりも一段嵩上げされており、子供の背丈でも快適に?前面展望が楽しめる設計となっている。安全対策も施されており、キッズスペース全部には子供用の手すりが、背面には子供の背丈に調整されたクッションが設置されている。同乗する家族も安心して傍にいられる様工夫されている。 |
運転室後方の様子(全体写真) |
エンターテイメントゾーンとして新設されたキッズスペース。ベースの床面よりも一段高く、子供の背丈でも前面展望が可能な様工夫されている。 |
運転室後方座席 |
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新型車両3000系の運転台
こちらも清潔感のある白とグレーの貴重でまとめられている。 |
今回の新型車両3000系では、同社としては初となる両手式ワンハンドルマスコンが採用された。 |
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