モノレールデータベース
モノレールの車両基地(主に形態・配線)について紹介します。
1.モノレールの車両基地車両基地とは、モノレール営業車両の留置、検査、塗装、洗車、モノレールにおいてはタイヤ交換等を行うための鉄道用設備の事。本項では、モノレールの車両基地の主要な配置および配置形式と、各運営会社における車両基地について画像集を用いて紹介する。 2.車両基地の形態まず紹介するのはモノレールの車両基地が採用する各種の形態について。一般的には、主要設備、留置線の順に縦列に配する片方扇形と呼ばれる配線か、主要設備および留置線を双方向に両開きの扇状に配する配線が用いられます。各形態については次項にて簡単に紹介させていただきます。
2-1.片方扇形モノレールに限らず、鉄道全般において最もポピュラーな基地構造となるのが「片方扇形」の配線形態。片方扇形は、各設備の配置から更に並列方式と縦列方式に細分化される。 1-1.片方扇形(並列方式)並列方式とは、車両基地入り口の分岐器を介して留置線、検車区、保守基地等の主要設備に扇形に分岐させていく方式。車両の入場出場が端的かつ容易というメリットを持つ反面、留置線から各設備へ車両を移動する際に車両基地入場口分岐器まで車両を移動させる必要が生じるというデメリットを持つ。 また後述する縦列方式に比べ、基地全体の横方向の面積が多く必要になるというデメリットもある。 特に分岐設備にコストが掛かる事と、同設備が大掛かりとなる傾向にある「モノレール」では、この並列方式を採用する車両基地が殆どであるといっていい。
2-2.片方扇形(縦列方式)縦列方式とは、車両基地入り口の分岐器を介して留置線(反対に検車区、保守基地等)に分散させた後、検車区、保守基地等(反対に留置線等)を車両基地奥手に配置する方式。 車両基地自体を長細くコンパクトに配置できるメリットに対し、前区域車両に留置させる車両との兼ね合いで、必要に応じた車両の入れ替えが発生するというデメリットを持つ。 基本方式を並列方式としつつ、車両基地の一区画をこの縦列方式としているモノレール車両基地が多い傾向にある。
上記例として挙げた北九州モノレール企救丘車両基地では、終点の企救丘駅と企救丘車両基地への高低差がこの配置を採用した要因となっている。車両基地最寄となる企救丘駅より、企救丘車両基地へはおよそ2階層(企救丘車両基地-1F、GL1F、営業線2F)分の高低差が生じるが、営業線2階層と企救丘車両基地-1階層へは車両基地入場線を下り接続されている。このため昇降に要する軌道桁距離が必要となり、車両基地の階層に到達するのは車両基地半周分強におよんでいる。さらに企救丘車両基地は、長方形の用地上に配置される事から、車両基地階層に降りた後もさらに1週分用地内を周回する必要があった。企救丘車両基地では、この用地を有効に利用するため、基地入場線より車両基地階層に降りた後一つ目の3差分岐器を介して、タイヤ交換場、洗車線に到達する。軌道桁は3差分岐器で一旦単線に戻り、保守基地を通過した後、さらに三差分岐器2機を介して、留置線および検車線ならびに塗装工場線に並列方式で入場する。つまり、タイヤ交換場および洗車線へは1-2.で触れた縦列方式を採用し、留置線および検車線へは並列方式を採用している事となる。
2-3.双方向扇形双方扇形の車両基地とは、項1.片方扇形で紹介した配線形態を両開き上に配置したものを指す。とくに用地の兼ね合いで進行方向に向かって横方向の面積が確保できない場合(縦方向には面積を確保できる場合)配線数を抑え、分岐器からの留置線等への分散を双方向に行う。 また片方扇形で課題となる留置線から検車線等の各種の車両入れ替え作業が能率的に行えるというメリットを持つ。 両扇を複合的に重ね合わせた異形双方扇形の配線も鉄道の車両基地ではしばしば見かける方式。モノレール路線では唯一この方式を持つのが、多摩モノレールの立飛車両基地。 例) 昭和島車両区(東京モノレール) 多摩モノレール車両基地・立飛(多摩モノレール)
2-4.一体形主に路線長が短く、所有編成も少ない路線に見られる車両基地形態。片方扇形や双方扇形の様に、留置線と検車線等を分けず両機能を同一線に持たせる方式。 例) ・犬山遊園駅-車庫(名鉄犬山遊園線)(既廃線) ・手柄山駅-車庫(姫路モノレール)(既廃線) また、上述した路線よりさらに距離が短く、所有編成数も1〜2程度となる場合、検車用の設備を設けず駅伯で対応するケースも存在する。 モノレール開発黎明期に登場した短距離路線等に見られる方式であるが、現存する路線は少ない。 例) ・上野動物園 懸垂線 ・向ヶ丘遊園線(既廃線)
3.車両基地の拡張および新設車両基地を拡げる方法としては、主に既存車両基地の拡張と別の場所に新たに新設するとう2種類の方法がある。国内のモノレールの様に、鉄道路線などと比べ営業距離が短い場合等には既存の車両基地を拡張する方法が一般的となっている。 例として以下の通り車両基地が拡張された歴史が存在する。 ・東京モノレール(現整備場-羽田廃止・新設羽田延伸時)昭和島車両基地の拡張 同留置線拡張、同保守基地北側移設および拡張(12mトラバーサ新設) ・大阪モノレール複数回の延伸に伴い随時拡張 ・沖縄都市モノレール留置線延長 ・北九州モノレール保守基地延長 etc
また各車両基地は、初期建設時に将来の需要と延伸を見越し予め留置線等の拡張スペースを備えている事が多い。 今現在でも、この拡張スペースを有する車両基地は以下の通り存在するが、かならずしも拡張で対応する分けではない。 特に大阪モノレールでは、2029年に予定される瓜生堂延伸に伴う営業車両増について、瓜生堂駅付近に車両基地を新設し対応する。 現万博車両基地の余スペースは、どちらかというと将来6両編成化時にともなう収容スペース(軌道桁長)増に対応するものとなっている。 また北九州モノレールでは全10編成を終了できる企救丘車両基地を有しているが、現在広場として利用されているスペースに留置線を増設スペースを有している。 同様に沖縄都市モノレールにおいても、留置線延長用スペースが確保されていたが、編成15〜19の導入に伴いこの拡張工事を完了している。 拡張スペースを現有する車両基地(主に留置線) ・北九州モノレール(留置線) ・大阪モノレール(留置線)
3-1.今後新設が予定される車両基地モノレールの車両基地は、モノレール路線が新規に建設される場合もしくは長距離での延伸が成される場合の2パターンに分かれます。今日の日本国内において、新たにモノレール路線が建設される計画はいまのところ存在せず、これに伴う車両基地の新設も考えにくい状況にあります。 ・大阪モノレール瓜生堂車庫延伸に伴う車両基地の新設とう意味では、上述した大阪モノレールの瓜生堂延伸に伴う瓜生堂車庫の新設が挙げられます。大阪モノレールでは、既終点の門真市駅〜瓜生堂駅(仮称)までの9kmの延伸が決定しており、これに合わせて瓜生堂駅直前に車両基地が新設される事が決定しました。 基本構造としては、万博車両基地と同様片方扇形が採用される見込みとなっています。 瓜生堂車庫の設置場所については、近畿自動車道沿いの長細い緑地帯に予定されています。 長方形という基地用地となっている事から、配置される線数は抑えられ、奥手方向に縦列留置する留置線が設けられるものと推定されます。 |
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4.モノレール運行路線各車両基地画像集へのリンク(随時追加予定)
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