ダイジェスト版
1.ゆいレールてだこ浦西延伸区間を歩く
2017年9月12〜14日、沖縄県は那覇へ訪問。 |
ゆいレールの延伸ルート概略図 沖縄都市モノレール「ゆいレール」 |
スポンサー リンク | |
|
2.てだこ浦西延伸 既存終点駅「首里駅」ゆいレールてだこ浦西駅延伸ルートを散策するため、ゆいレールの既存終点駅である首里駅へ降り立ちました。ここから延伸ルートの散策を行います。 |
|||||
延伸部散策の開始地点は、毎度おなじみとなりつつある既存終点駅の「首里駅」です。 今回の散策では、現時点での撮影時の様子および前回訪問時点との比較のため、所々に前回様子を掲載いたします。 ゆいレールの終点、首里駅を出て北東方面へ歩くこと数十秒、汀良交差点に差し掛かりました。
現在の首里駅先の軌道末端部と上写真の軌道末端部とは、鋼軌道桁と呼ばれる鋼製のレールで接続が完了しています。 首里駅先の交差点部分については、2017年4月頃まで軌道が未設置の状態でしたが今回訪問時ではついに次区のPC軌道桁と繋がりました。 鋼軌道桁設置時は仮設の支柱が設けられ連続工(鋼軌道桁自体も連続鋼)によって建設が進められたそうです。 なお、延伸部一区画目となるこの鋼軌道桁、今回からは合成合理軌道桁という部類の鋼軌道が用いられまいた。 詳細は次に配置される鋼軌道桁位置で紹介いたします。 (散策冒頭から長い説明文が入るのは避けたかったため。) |
現地点〜次駅までの散策(ゆいレール)延伸ルート概略図 ここから新設中間駅となる「石嶺駅」と「経塚駅」手前までの区間は、都市計画道路 那覇市道 3・3・17号石嶺線に帰属する区間となります。この、都市計画道路 那覇市道 3・3・17号石嶺線上のモノレール延伸部は、ゆいレールの延伸工事が開始された直後より各種の整備(道路整備や支柱建設)が開始された区間でもあります。 |
||||
モノレール営業線、最後の軌道を支えるのはP586支柱 延伸ルートでは、これより順次P587支柱以降の支柱Noが振られています。 |
首里駅先の軌道末端部 (首里駅ホームより撮影) |
||||
那覇市道 3・3・17号 石嶺線 汀良交差点より石嶺駅方向を見る。 毎度おなじみの交差点左折直後の上り坂。モノレールの軌道桁が空へ消えて行く様です。既にPC軌道桁および電車線の設置も完了していました。(参考に半年前の様子を右欄に掲載しました。) |
2017年3月時点 同位置の様子。 坂の上部付近のPC軌道桁は、丁度前回訪問時にPC軌道桁が設置された箇所です。 |
||||
合成合理鋼軌道桁 |
今回訪問時における主目的の一つ、「合成合理鋼軌道桁」設置ポイントに到着しました。 2017年3月訪問時には、全区間において鋼軌道桁未設置っとなっていましたが、写真位置では2017年4月頃に、ついに「鋼軌道桁」が設置されました。 専門単語が多く登場し、混乱を招きそうですので、ここで簡単に合成合理軌道桁について紹介したいと思います。 合成合理軌道桁とは、鋼軌道桁に大別されるモノレール用の金属製の軌道の事を指します。 交差点などの市間長が22mを超える区間では、強度的にPC軌道桁を用いる事が出来ません。 このため、この様な区間では「鋼軌道桁」と呼ばれる軌道桁を用いる事となります。 今回沖縄都市モノレール(ゆいレール)首里駅〜てだこ浦西駅延伸部においては、この「合成合理軌道桁」という軌道桁が用いられました。 「合成合理軌道桁」とは、「合成軌道桁」と「合理軌道桁」の両構造の良いところを組み合わせた、新種のハブリッド鋼軌道桁になります。 なお「合成軌道桁」とは、従来の鋼軌道桁では走行輪走行面および案内輪走行面が鋼製であったのに対し、上部分をRC床板に代替た軌道桁の事を指します。 鋼軌道桁の上部構造物がそのままRC床板へと置き換えられる事で走行路面の改善や騒音の低減が図られます。 もう一方の「合理軌道桁」は、鋼軌道桁において両軌道桁箱構造物を接続する縦鋼および横鋼の本数を、合理化によって減らしたものを指します。 具体的には、従来横鋼10〜12本程度であったものが4本程度の規模に抑えられるという事になります。 |
||||
合成合理鋼軌道桁(拡大写真) |
|||||
那覇市道 3・3・17号 石嶺線 ゆいレール石嶺駅方向を見る。 坂頂上付近よりモノレールの延伸部を見下ろします。 真っ直ぐに伸びる軌道桁の先には、建設が進められる「石嶺駅」が見えています。 延伸工事が開始された頃、真っ先に支柱が登場したのは正にこの箇所でした。 現在はPC軌道桁が設置され、今にもモノレール車両が上空を通過していきそうな出で立ちです。 |
2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
首里駅〜石嶺駅間では、写真に写る作業台車も留置されていました。 恐らく架線設置作業に従事しているものと考えられます。 |
下り線にはオレンジ、上り線には灰色の作業車が配置されています。 前回、首里駅先の車止め付近に留置されていたものではないかと思われます。 |
||||
石嶺駅へと続くモノレール軌道桁 写真に写っている区画、半年前は軌道桁は設置されていませんでした。 (右写真参考) 交差点区間に採用される鋼軌道桁はいずれも合成合理桁となっています。 |
2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
2015年10月時点 同位置の様子。 |
|||||
駅舎および駅構内部のモノレール軌道桁を支える支柱は鋼製。 写真に写るRC支柱が、駅手前までの最後のコンクリート製支柱となります。 ゆいレール延伸区間に新設される駅は、いずれも島式ホームを採用予定。 よって上写真の支柱の様に、駅舎前後のRC支柱はモノレール軌道が描くクロソイド曲線を支持するために、支柱頭部が横方向に広がった形状を有します。 |
ここまで延伸区間においては、前回訪問時と比較してほとんどの軌道桁(モノレールのレールに相当するもの)の設置作業が完了していました。 なお、今回のゆいレール延伸区間に設置されるPC軌道桁は、現行営業線で主に用いられている20m長の軌道桁から、22mの軌道桁に変更(スパン拡大)されています。 設置工数削減による整備費用の削減が図られる他、支柱間長の拡大によって景観性および日照の点でも環境影響への配慮が成されています。 ここまで那覇市道 3・3・17号 石嶺線を石嶺駅方向へ歩いてきましたが、ようやく延伸ルート新設第1駅となる「石嶺駅」予定位置が見えてきました。 |
||||
3.てだこ浦西延伸 新設第1駅「石嶺駅」沖縄都市モノレール(ゆいレール)延伸部における最初の新設駅「石嶺駅」。骨格部分がほぼ完工し、現在は駅舎外観の工事が進められています。 ゆいレール延伸部では、全駅が島式ホームを採用し石嶺駅も例外ではありません。 駅場内入線部では支柱頭部が大きく広がっていますが、これは駅前後でクロソイド曲線を形成するためです。 これによって島式ホームを採用する駅前後では速度が低下気味となり、結果として表定速度が低下します。 島式ホームを採用する場合の、ある意味の欠点と言えるかもしれません。 |
|||||
石嶺駅直下部分 石嶺駅予定位置に到着しました。 既に骨格となる支柱が組まれていて、外装艤装作業を待つ状況になっているものと考えられます。 |
那覇市道 3・3・17号 石嶺線上に姿を現した「石嶺駅」建設予定位置 2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
石嶺駅直下部分 ここまで組まれると延伸開業が近い未来の事であると改めて考えさせさせられます。 |
「石嶺駅」建設予定位置 石嶺駅を支える鋼支柱の建設中の様子が写っています。 道路(那覇市道 3・3・17号 石嶺線)左側が、石嶺駅の交通広場として整備される予定の区画。 2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
前回訪問時は下部工である鋼支柱のパーツが仮置きされていた空地も、現在は重機およびPC軌道桁が仮置きされています。 |
進行方向より左側(写真中央部)が石嶺駅駅前広場の予定地。 2014年10月時点では駐車場として使用されていましたが、2017年に入り整備が進められました。 2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
石嶺団地入口交差点先の延伸ルートを撮影。 モノレール軌道は石嶺団地交差点を鋼軌道桁(長スパン)でオーバーパスし、若干左方向へ曲がりながら次の直線区間に入ります。 |
石嶺駅先に位置する石嶺団地入口交差点。 この交差点を右折すると石嶺団地に到達します。 2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
撮影に訪れた期間中、丁度写真位置の鋼軌道桁の設置作業が行われていました。 写真は設置後の様子。右手に示す写真が設置作業の様子となります。 |
鋼軌道桁の設置作業の様子 作業の様子についてはこちらを参照下さい。 |
||||
てだこ浦西延伸 新設第1駅「石嶺駅」予定位置を通過し、次駅となる「経塚駅」建設予定位置を目指します。 |
石嶺駅〜次駅「経塚駅」までの散策(ゆいレール)延伸ルート概略図 新設第2駅となる「経塚駅」。 当駅周辺では、都市計画道路 那覇市道 3・3・17号石嶺線、 浦添市道 3・2・浦1号 沢岻石嶺線および浦添市道 3・3・16 号 国際センター線の3路線に帰属する多重変異区間となります。 |
||||
浦添市道 3・2・浦1号 沢岻石嶺線へ向けて伸びる軌道桁。 次回訪問する際には、全ての軌道が設置されているものと考えられます。 |
2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
途中鋼軌道桁が設置されている箇所がありました。 こちらも先ほど紹介した合成合理軌道桁となっています。 断面の構造がよくわかる一枚となりました。 |
延伸ルートは先の石嶺交差点へ向かいます。 |
||||
石嶺交差点に到達しました。 ゆいレール延伸区間がここまで帰属してきた3・3・17号 石嶺線はこの交差点まで。 正面に見えている割掘構造部から浦添市道 3・2・浦1号 沢岻石嶺線となります。 てだこ浦西への延伸ルートで、間違いなく、大きく外観が変わった箇所の内の一つと言えます。 石嶺交差点手前には、この様な門型支柱が設けられていました。 丁度この門型支柱から交差点を越えた支柱までは鋼軌道桁が設置される様です。 |
2017年3月時点 同位置の様子。 2015年10月時点の石嶺交差点 横方向に走る道路は、県道宜野湾南風原線。 |
||||
浦添市道 3・2・浦1号 沢岻石嶺線区画となる割掘構造部。 もともとはトンネル区間として計画されていました。 ゆいレールの延伸が決まり、都市計画も割堀式へと変更されました。 |
割掘構造に配置された支柱。 この区画ではPC軌道桁が配置される様です。 |
||||
浦添市道 3・2・浦1号 沢岻石嶺線(浦添市内間一丁目〜那覇市首里石嶺町三丁目)を抜けたゆいレール延伸ルートは、写真手前の交差点で進路を東(右折)に取り、経塚駅を目指します。同時に帰属する都市計画道路は、浦添市道 3・2・浦1号 沢岻石嶺線から浦添市道 3・3・16 号 国際センター線へと移ります。 |
2017年3月時点 同位置の様子。 一見変化が無いように見えますが、奥手には駅舎がまだありません。 |
||||
左写真の2015年10月時点の様子。 当時と比較すると、景色も随分と変わってしまいました。 |
|||||
4.ゆいレールてだこ浦西延伸 新設第2駅「経塚駅」浦添市道 3・3・16 号 国際センター線へと入ったゆいレール延伸ルートは、この後直ぐに「経塚駅」へ至ります。この駅舎も骨格部が姿を現しています。 さらに最後に外装を施工する関係で、既に駅構内のPC軌道桁の据付も完了しています。 ゆいレールのみならず、直近建設されたモノレール路線ではいずれもPC軌道桁の設置が先でした。 駅舎と前田トンネル部に設置された支柱も、延伸工事開始初期に登場した支柱です。 延伸軌道はここで山の右手に一旦逸れ、山の反対側で下の道路直上に戻ってくる格好となります。 |
|||||
「経塚駅」外観 軽塚駅に到着しました。 石嶺駅と同様骨格のみですが、駅のイメージが随分と沸く外観となっています。 |
2017年3月時点 同位置の様子。 今回訪問時には駅舎骨格が出来上がっています。 |
||||
前田トンネル後の延伸ルートの様子。 この辺は前回もレールが設置されていた区間で、外観上はあまり変化がありません。 |
経塚駅〜次駅「浦添前田駅」までの散策(ゆいレール)延伸ルート概略図 ゆいレール延伸ルートにおける経塚駅〜浦添前田駅間は、ほぼ浦添市道 3・3・16 号 国際センター線に帰属する。 |
||||
さらに進みます。この辺りでは以前レールが設置されていなかった箇所にもレールが設置されています。 |
|||||
先ほど石嶺駅付近で出くわした作業台車が留置されていました。 先ほどと逆の配色となっています。 |
|||||
トンネル(山)を越えた延伸ルート(モノレール軌道)は、国際センター線の線形に沿って緩やかな左カーブを描きます。 この区画も今回訪問時にはPC軌道桁の設置が完了していました。 (参考に半年前の様子を右欄に掲載しました。) |
2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
奥手が浦添前田駅へと右折する交差点位置。 (参考に半年前の様子を右欄に掲載しました。) |
2017年3月時点 同位置の様子。 当時建設中だった支柱もご覧の通り。 |
||||
浦添前田駅へ向けて、軌道は大きく右折していきます。 |
その先には骨格が完成した「浦添前田駅」が姿を現しました。 |
||||
5.ゆいレールてだこ浦西延伸 新設第3駅「浦添前田駅」浦添市道 3・3・16 号 国際センター線区画を走破したゆいレール延伸ルートは、浦添警察署が位置する交差点で東に進路を変える事となります。国際センター線より沖縄県道 3・4・54号 城間前田線へ帰属道路を変更したゆいレール延伸区間は、直後に「浦添前田駅」に到達します。 交差点の内側は浦添前田駅の交通広場となる予定で、浦添前田駅設置予定地と合わせて造成工事が進められていました。 |
|||||
建設の進む浦添前田駅 周辺整備に伴い、若干交通渋滞が悪化している様です。 |
浦添前田駅を出たゆいレール延伸ルートは、直ぐにグラウンドレベルからトンネル区間に突入します。 |
||||
トンネル区間導入区間の様子 徐々に支柱高さを下げ、トンネル区間では床面に配された支承にレールが設置されます。 ボックスカルバート部地上部分。 アルファルト上に箱番号が記されている。 トンネルに吸い込まれたゆいレールは、最終的のてだこ浦西駅直前で地下区間を脱出する事となります。 |
浦添前田駅〜次駅「てだこ浦西駅」までの散策(ゆいレール)延伸ルート概略図 この区間の見所は、なんといってもゆいレールでは初となる地下(トンネル)区間の存在。トンネルを出たモノレールルートは、直ぐに最終駅となるてだこ浦西駅に到達する。 |
||||
ゆいレール延伸区間である沖縄県道 3・4・54号 城間前田線帰属区間はここまで。 以降は沖縄県道 3・2・14号 浦添西原線へと移ります。 ボックスカルバート部(地下)より帰属する浦添西原線区画は、モノレールの延伸と合わせてこの先に新たに建設が進められている道路本体(浦添西原線1号橋)とその脇に設置が予定される「てだこ浦西駅」から成ります。 |
|||||
ゆいレール延伸ルートのトンネル断面の構造図 構造からNATM部分のものと考えらます。 (標準断面図) |
トンネルにて地下区間を通ってきたモノレール延伸ルートは、正面の先で地上に脱出します。 |
||||
6.ゆいレールてだこ浦西延伸 新設第4駅「てだこ浦西駅」ゆいレール全線、そしてゆいレール延伸ルートの終着駅となる「てだこ浦西駅」。 |
|||||
てだこ浦西駅のイメージパース。 現地にて掲載されていたもの。 |
てだこ浦西駅は、今回のゆいレール延伸区間における終点駅。 駅の西(手前)側には、新たに分岐橋および分岐器が設置されます。 分岐器とは、往路および復路の線路を切り替える装置(レール)の事を指します。 首里駅方よりてだこ浦西駅へとやってきたゆいレール車両は、てだこ浦西駅で進行方向を逆にとり首里駅(那覇空港駅)方向へと帰っていきます。 この際、下り線から上り線へと進路を変更する必要が生じるわけですが、この分岐器によって下り線から上り線へとモノレール車両が渡る事で復路へ付く事ができます。 |
||||
てだこ浦西駅軌道末端部位置より見た浦西駅・分岐橋およびトンネル出口付近の様子。 時間の都合で上面からの撮影が出来ず、確定的なコメントがかけませんが、正面の建設中の下部構造物は、おそらくてだこ浦西駅の基礎部分です。その先には浦西分析の下部構造物が配置されているはずです。 |
2017年3月時点 同位置の様子。 |
||||
てだこ浦西駅駅舎・分岐橋。 撮影時点では下部工の工事が進められていました。 |
てだこ浦西駅先の軌道末端部位置の様子。 |
||||
ここまで、ゆいレール延伸ルートを散策してきましたが、記事自体は以上となります。 別途、各区間ごとの画像集を近くアップする予定にしています。 繰り返しになりますが、ゆいレールてだこ浦西駅の延伸部を含む全線開業は2019年春が予定されています。 前年(2018)度には各種艤装〜試運転までをこなす必要があります。 よって、外観上の完成は遅くとも2018年前半頃が予想されます。 当サイトでは、工事の進捗を見つつ再度延伸ルートの散策を実施する予定としております。 あくまで予定ではございますが、次回は2018年春頃の訪問を計画してございます。 最後までご覧下さり有難うございました。 |
首里駅へ向かうゆいレール車両 |
||||
|