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姫路市交通局(姫路市営モノレール)
-Himeji Monorail-
Straddle-beam monorail (Lockheed) system , Kawasaki
姫路市営モノレール(廃線跡)探訪
姫路市営モノレール廃線跡を探訪します。
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姫路市営モノレール(正式な路線名は無し)は、姫路駅~手柄山駅(手柄山中央公園)までを結ぶ1.6kmのモノレール路線。
1966年の開業後、営業不振により1974年休止、1979年には廃止となった。
近年では大将軍駅(高尾アパート)の解体に関する記事がネットで話題になっている。
2016年7月には姫路市議会にて正式に同駅跡の解体が決定。
多数の要望を受ける形で、姫路市は大将軍駅の一般公開に踏み切った。
姫路市営モノレール 路線概要 | |
路線距離 | 1,824m(免許区間:姫路 - 手柄山南2.0km) |
営業キロ | 1,630m (全線単線) 最急勾配 60‰(山陽電車とのクロス部分) 最小半径 80m(大将軍駅手柄山駅側) |
方式 | 日本ロッキード式(跨座式) 図.モノレールの規格一覧 左段:海外マニュファクチャラー 右段:日本マニュファクチャラー |
駅数 | 3駅(姫路(仮)駅~大将軍駅~手柄山駅 |
電化区間 | 全線 直流600V(第三軌条方式) |
保安装置 | ATS |
閉塞方式 | なし |
2016年度、取り壊しが決まった旧大将軍駅と見学会にて公開されたホームの様子。 (2016.8.16大将軍駅見学会) |
姫路モノレールのルート 姫路市モノレールの路線は総延長1,824mで、このうち本線が1,630mを占めています。姫路駅は当時、国鉄山陽本線姫路駅前に位置し、面積564m²の高架式駅でした。ここを起点として、山陽電鉄を高さ14.8mでオーバークロスし、500m先に大将軍駅があります。この駅は1,418m²の面積を持ち、当時は5階以上の駅ビルが建設中で、秋には10階建ての住宅公団ビルが完成予定でした。このビルの3階と4階が駅施設として使用され、プラットフォームは4階に位置し、エスカレーターも設置されていました。 姫路駅から大将軍駅までは、幅20mの新設道路敷に沿っており、鉄道用地の幅は5mです。大将軍駅を出てすぐに産業道路を越え、船場川左岸に沿って進むと、船場川第一橋梁(起点から1km200)に達し、右岸へと移動します。この間、起点から750mの地点には変電所があり、800m地点で国鉄山陽本線を越えます。将来的に飾磨・広畑方面への高速道路が計画されていたため、船場川第一橋梁はクランク(屈曲)工法で設計されました。 |
「モノレール姫路駅(仮)跡」 |
本線の最小曲線半径は80mで、船場川第一橋梁の1箇所に設けられていました。他の曲線半径は100m、150m、200mでした。側線では、転てつ器と手柄山駅入口の3箇所に最小曲線半径が設定されていました。軌道敷地内の最急勾配は60‰で、山陽電鉄を越える部分や船場第一橋梁の架設工事で採用されていました。区間6では最大60‰の勾配があり、金属枠を用いた最急勾配40‰での施工が行われていました。 |
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軌道ビームは中空のPSコンクリート構造で、断面は900mm×1,500mmでした。標準スパン長は20mでしたが、特定の区間では最大25mのスパンも使用されていました。国鉄山陽本線を越える部分では、47mスパンのスチュワートトラスが採用されていました。コンクリート面には鉄レールが取り付けられており、ビームの表面は磨耗や損傷を防ぎ、維持が容易でした。軌道ビームの支点は鋼製上部パッドで構成されていました。姫路市の全軌道ビームは、PSコンクリート桁61連、最大スパン25m、鉄筋コンクリート桁33連、鋼桁(箱桁)3連、鋼桁(トラス)1連で構成されていました。 |
大将軍駅 姫路(仮)駅側を大将軍駅ホームより撮影 (大将軍駅見学会より(2016.08.13)) |
レールにはJ.N.R. 50-Tレール(53kg/m)が使用されており、頭部側レールは上部安定輪の走行面として機能していました。軌道ビームの側面には2本の安定レールが取り付けられ、下部安定輪の走行用として22kgレールが使用されていました。片側の中央には給電用として30kgの導電レールが設置されており、主レールと安定レールはネオプレーンパッドでビームに結合され、衝撃を緩和する三重弾性構造となっていました。主レールは直流600Vの電気回路に接続されており、ビームから絶縁されていました。 支柱は鉄筋コンクリート製で、場所打ちコンクリートで施工されており、全95本の支柱のうち最も高いものは高さ20.3m(地上高16.7m)でした。転てつ器は鋼製で、長さ15mの直線桁と半径40mの曲線桁、結合ビーム2本、スイングビーム、サドル、駆動装置で構成されていました。電動または手動で操作され、サドルの車輪はチェーンを介して直接駆動されました。移動速度は12m/分で、移動距離は2.9mでした。操作は5.5kWの全密閉形電動機を使用しており、遠隔操作が可能でした。 |
大将軍駅 姫路(仮)駅側 |
手柄山駅は検修車庫を兼ねる地下駅で、プラットホームの長さは66mでした。駅には運転指令室があり、ATS制御盤や無線通信設備が設置されていました。駅の2階には駅長室や営業事務室があり、コンコースから手柄山公園の各施設にアクセスできました。公園内には野球場や陸上競技場、厚生会館などがあり、無料で利用できる公共施設が充実していました。 手柄山駅には検修車庫もあり、総延長194mの側線が設置されていました。車庫には15tの天井走行クレーン、ボール盤、プライザー、ホルトーロ、エキスプレッサーなどが完備されていました。車庫の入口には洗車設備があり、2階には検修事務室と会計室がありました。また、引上線は51mの長さがあり、3両の引上げが可能でした。 |
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車両は両頭車CMC2両と先頭車MC2両の計4両で構成されていましたが、運用上は1両が予備車両となり、3両編成で運行されていました。運転時分は下り3分50秒、上り4分40秒で、最高制限速度は50km/hでした。運転間隔は15分に設定されていました。 電力は3相60c/s 33kVを電源とし、600V 750kW×2の容量の変電所が設置されており、加えて6,000Vの信号高圧および操作電源も供給されていました。また、姫路駅と手柄山駅の両終端駅には、保安のために自動列車停止装置(ATS)が設置されていました。この装置は連続誘導式4表示のもので、安定レールに沿ってコード送信回路が構成され、コード表示電流が連続して通電していました。端末駅の出発・到着時には、切換弁子の操作により送信条件が変化していました。列車によるコード送信回路の短絡はなく、29、36、60の3種類のコードがあり、それぞれ50km/h、30km/h、 10km/hに対応していました。地上送信回路に対応して、車上受信器が作動し、指定速度を超えた場合には、速度照査器と車上継電回路によって自動的に非常ブレーキが作動していました。 |
管理人がまだ小学生の頃。
新幹線に乗って出かける事はちょっとしたイベントでした。姫路駅へ差し掛かった頃、そんな浮かれた小学生の目に、山の方へ延びる一本のレールが飛び込んできました。モノレールが大好きだった少年は、新幹線での旅行よりもそちらに釘づけになります。
当時は、インターネットもそこまで普及しておらず、中央図書館で「地域」と「交通」の棚にかぶりつく毎日。ほどなくして正解に辿り着くも、その物体は名をロッキード式と言うモノレール廃線跡であると知りました。それまであった、モノレール=コンクリート&ゴムタイヤという小さな常識がどこかへ吹っ飛んでしまいました。
早く大人になって、自分の足であの廃線跡を見に行きたいと思っているうちに、いつのまにかおじさんになっていました。現在では軌道跡の撤去も随分と進み、当時の面影も薄れつつある姫路市営モノレール。そんな姫路市営モノレールの廃線跡を探訪しました。
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